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第34話Aphrodisiac⑥

2人の生徒が再び声を発する 『なぁ、今なんか聞こえなかった…?』 『は?!怖いこと言うなよ』 『いや、なんかくぐもった声みたいな…』 だめだ、片方にははっきり聞こえてしまっている。焦ってどうにかしようと思うがどうしようもない。小笠原はまた動き始める。 必死に我慢するが吐息すら聞こえてしまいそうで更に焦りがでてきた。小笠原の手に圧迫されて口が苦しい。小笠原は余裕があるのか俺の口元を抑えた手の小指で、俺の顎を撫でるような動きをした。 それだけの小さな刺激にも体がピクっと反応する。小笠原はゆっくりと出し入れを繰り返し、微弱な快感を与えてくる。 『確かに聞こえたんだって!』 『聞き間違いだろ…』 『多分、この辺りから…』 まずい、個室の方に近づいてくる。 すると、それを待ちわびていたかのように小笠原はいきなり奥まで突き上げた。その快感の衝撃でまたくぐもった声が出る。 「ん゛っ…んぅっ」 生徒達はそれを聞いたのかすぐにまた黙ってしまった。そしてまた話し始める。 『…やべえ、俺にも聞こえちゃった…』 『聞こえただろ?!』 『なぁ、開けてみねぇ?』 『マジで言ってんの…?あ、でもここ、鍵しまって…』 そんな会話が聞こえてきて気が気でなくなる。 一方小笠原は、そんな俺の様子を楽しむようにニコニコと微笑んでいた。 小笠原は動きを止めず、今度は前立腺のあたりを掠める。そこは痛かっただけの昨日でも感じてしまった所なのに、薬を使われた今そこを責められたらどうなるかわからない。俺が身じろいだのを確認すると、そこを重点的に責めるかのように擦りあげて、何度も突いてくる。漏れた声は小笠原の手のひらに収まっていたが、何を思ったのか小笠原は俺の口に指を入れて無理やり開かせる。唾液が垂れて、更に声ももう我慢出来なかった。 今までよりも強い快感に耐えられるはずがない。いきなり腰の動きを早めて、弱いところを一気に責められた。 「ん…ぁ…あっやだっあんっあっあっだめっ、んっあぁっ!」 我慢していたぶん今までの中でいちばん大きいくらいの嬌声があがる。俺が声を出したのを機に、再び微弱な動きへと戻る。慌てて口を噤むがもう遅い。気持ちよさと恥ずかしさで頭が動かない。どうしよう、絶対にバレた。こんなに近くにいる他人にバレてしまったらもう逃げようがない。 『…お、おい…』 『くっそ、昼間っから男子トイレでおっぱじめるなよな〜』 『3年の先輩とかだったらやばいし早く行こうぜ』 『そうだな…ていうか女の方めちゃくちゃエロくね?あ〜俺もヤリてぇ〜』 『おい、早く行くぞ!』 2人の生徒は、そんな会話をしながらそそくさと帰っていく。去っていった安心と、また別の恥ずかしさで力が抜ける。 小笠原は今まで堪えていたかのように笑い始めた。 「…っふふ、あーあ、聞かれちゃったね、双木くんのいやらしい声…」 「んっ…うるさ、だって、お前が…あっ」 「今日いちばん大きい声出たんじゃない?本当は聞いて欲しかったの?人が来てからすごい締め付けるようになったよね」 「やっ…だ、言うな…!」 「ねぇ、しかも女の子だと思われちゃったみたい…双木くんとヤリたいってさ、どうする?」 そう。去っていったのはいいが、俺の声が女だと思われてしまったのだ。まあ、男同士がトイレでこんなことをしているのが普通ではないから、そう思うのも当たり前なのだが。 「双木くん、えっちしてるときはほんとに女の子みたいだもんね?あー可愛かったなぁ、さっきの声…喧嘩の時はあんなに勇ましく戦ってたのに、男に突っ込まれたら可愛く啼くようになるんだね」 「っ…あっ言う、なって…!やめろっあっ」 全身が熱くなり、涙が滲む。こいつのせいで滅多に泣かないはずだったのに涙腺がボロボロだった。小笠原の思惑通りだったのだろうが、我慢出来ずに人前で淫らに声を上げてしまった。その事実がまた俺の自尊心を押しつぶす。 男にこんなことをされるだなんて、今まで考えられなかったし、今でも嫌なはずなのに。そんな思いとは裏腹に体は快感を素直に受け取ってしまう。 「昼休み終わったら一旦解放するつもりだから、とりあえず俺に1回出させてね…もう、結構やばいんだ」 「んっああっ」 一度ずるりとそれが抜かれる。 小笠原のものはしっかりと硬くなっていたのですこし抜けづらく、ひっかかった部分が内壁を擦って少し声が漏れた。 俺を抱き寄せて小笠原は蓋のしまった様式トイレの上に座る。そして俺と小笠原が向かい合うようになると、脚を広げられて小笠原の上に向かい合って跨ぐように座らされる。脚を押さえられて思うように動けない。 すると体をかかえられて抗う間もなく挿入された。 「あっ…!あっ、やっ…奥…!んんっあぁ!」 自分の体重で、小笠原のものが奥までしっかりと当たってしまっている。 それだけで頭がくらくらした。昨日の自分だったら絶対に痛くて耐えられない。向き合っているから小笠原とはかなり密着している。 「トイレだとちょっと狭いな…双木くんに動いて欲しかったんだけどちょっと難しそうだね。一応俺も動かすけど、双木くんもちょっと頑張ってみて。俺だけ動いちゃうと多分痛いよ」 動くなんて到底無理だ。入れられただけでももう何も出来ないのに。確かに、昨日のように小笠原だけが主導で動くとこっちとしては辛い。だからといって自分から腰を振るなど論外だ。 今は刺激がなるべく来ないようにじっとしているだけで精一杯で、小笠原が少し動くだけで感じてしまった。 「昨日立ってやるのめちゃくちゃキツかったからね?これならまだゆっくり出来そう。この体位のいい所はね、繋がったままキスしたりできるところなんだよ」 そう言ってゆっくり唇を重ねられる。逃れようと後ろに反ると、背中を抱き寄せられて前へと倒れ込む。小笠原の頭の後ろにある壁に手をつく形になった。そこから体勢は戻せなくて、ただその口付けに応じるしかなかった。さっき噛み付いてしまったからか、歯茎ばかりしつこく撫で回す。 小笠原の目を見るのが嫌で目を閉じると、二人の吐息とリップ音ばかりがこの空間に響くのがより明瞭になってしまった。しかし、再び目を開けるのも恥ずかしくて、ただ終わるのを待つ。行き場のなくなった俺の舌は小笠原の舌に自然と絡みついて唾液を交わしあった。 ようやく小笠原の唇が離れたかと思うと、腰を持ち上げられ刺激を与えられる。 開いていた口からはまた声が漏れた。 「あっ…!あっあ…んん」 「双木くんって、キスするの好きなの?」 小笠原に聞かれ、そんな訳ないと首を横に振る。 「…双木くんのほうから結構積極的に絡めてくるから、どのタイミングでやめようか迷うんだよね」 「…っそんな、わけっ、ん…つ!」 自分のほうが積極的だと言われ顔が熱くなる。 そんな意識はなかったし、ただ小笠原に合わせているつもりだった。確かに、気持ちよくないと言ったら嘘になる。体の性感帯に刺激を与えられたときよりも、キスをしたときの方が少し心地よく感じてしまうのも確かだ。 でもそれは小笠原がそのときだけ妙に優しいからであって、キスが好きなんてはずはない。あと、あまり記憶には無いが、父親のことを思い出してしまった時にも同じようにしてくれた気がして、少しだけ妥協してやってるだけだ。 「…双木くん、ちゃんと昼休み終わるまでに俺がイけなかったら延長するかるね。まだあと30分以上はあるけど、あんまり焦らさないで?…もうちょっと楽しんでほしいから、これあげるね」 そうだ、昼休みが終わるまでに早く解放されなければ。そう思っていると、小笠原がポケットから小瓶を取り出した。そしてそれが何かを問う前に蓋が外され、俺の口内に瓶の中身が注ぎ込まれた。 「っ…んぐっ…っはぁっ、なんだよ、これ…!」 むせて口からその液体が垂れる。小笠原は瓶の中身を見て残りを飲み干すと、ニヤリと笑って瓶をポケットに戻した。 「これ、俺が使ってた即効性タイプの薬の原液。朝双木くんが飲んだのより少し強いくらいかな?これもほんとは薄めて飲まなきゃいけないんだけどね、原液で飲んだらどうなるんだろうと思って」 その説明を聞いても頭が追いつかない。 というよりかは、その説明をしている間既に、俺の体はありえないくらいの熱を帯びて疼いてしまっていた。

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