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第46話Carxxx
最悪だ、有り得ない。車の中でなんてことしようとしてるんだ。こんなことなら歩いて帰ればよかった。
小笠原は、息を荒くして何度も首筋にキスをした。痛みを伴うものではなく、すこしくすぐったい。
「っおい!ふざけんな、反省してねぇだろお前!」
「してる!物凄く反省してるから!」
「言ってることとやってる事が合ってねぇんだよ!」
「…どれくらい我慢したと思ってるの?」
「は…?学校で、あれだけ…」
こいつには学習能力が備わっていないのか?性欲どうなってるんだ。そんなに一日中ヤッていないと満足出来ないのか、冗談じゃない。
簡単に気を許してしまってはだめだ。これ以上男に犯されるなんてことはしたくない。
今は盛られた薬の効果もないはず、大丈夫だ。
「家で勇也と一緒にいる間、すごく我慢したんだよ…ねぇ、俺頑張ったでしょ?」
「っ…じゃあもっと頑張れよ、こんなところでするなんておかしいだろ!」
「家ならしてもいいの?」
「んなわけねぇだろ!全部だめに決まって…んっ」
小笠原は、俺の服の中に手を入れて腹を撫でる。
そのまま胸板へと手を伸ばし、乳首を捏ねるように触られる。
「勇也が感じてくれたら、合意したも同然だよね…?」
「んっ…ちが…病人、なのにっ…」
「後でちゃんと寝れば治るよ。」
「そう、いう問題じゃっ…あっんん…っ」
「声出てるよ、外に聞こえちゃうって…勇也は、嫌なのに感じて喘いじゃうの?」
本当に嫌なのに、こいつのせいで体が感じやすくなってしまった気がする。縛られたりはしていないから、抵抗はできる。しかしまだ熱で力が出ないし、なにより小笠原の力はものすごく強かった。
「ほんと、にやめろ…んっ」
「嫌なら逃げ出してみなよ」
お前が抑えるから逃げられないんだろうが。
思い切り頭突きをして小笠原の顔面に当てる。
小笠原が怯んだうちに抜け出すが、車にロックがかかっているため開かない。ロックを外そうとすると、後ろから引き寄せられてまた元の場所にうつ伏せに倒される。そのまま跨るように上に乗られた。
「っ…く、そ」
「ごめんね、手荒なことして…あ〜意外と痛かった…」
「謝るなら、こんなことするなよ…!」
「どうしても勇也に触りたくて…嫌がられると逆に止められない…ごめん」
じゃあ俺はどうすればいいんだ。このまま大人しくしている訳にもいかない。しかしうつ伏せになって上に乗られたら逃げようがない。体格差にしても圧倒的に不利だ。
再び服の中に手が入ってきて、そこを弄ばれる。
「んっ…や、めろ…いやだっ」
「どうして嫌なの?」
どうして?そんなの……どうしてだろう。男にそんな所を触られたくないから、父親のことを思い出したくないから、声を聞かれるのが恥ずかしいから、感じてしまう自分が嫌だから、このまま流されてしまうのが嫌だから。
自分が変わってしまうようで怖いから。
「そ…んなの、わかんね…んっ」
「…ねぇ、だめ?いいでしょ?」
「んっんん…あっ…」
今度は指に力がこめられ、痛みが走るが、それでも甘い嬌声が漏れ出てしまう。
嫌だ、嫌なのにどうして…
「耳真っ赤…」
そう囁いて耳を舐められる。今は何もつけていないピアスホールに歯を立てられると、なんとも言えない感覚で体が震えた。
「んっ…んん…も、やめ…っ」
「可愛い…好きだよ」
「お前なんかっ…きらいっ…あっあぁ…んっ」
「嫌いなら、どうしてそんなに感じてるの?」
「だって、あっ…ん…やっ」
指の腹で押すように乳首を刺激される。ぐりぐりと押しつぶしたり、引っぱったりと執拗にそこを責められる。外に聞こえないように声を抑えるが、強い刺激には耐えられなかった。
「嫌いな奴にこんなことされて感じちゃうんだね」
「あっ…ん、ちがっ…好きなら…こんなこと、すんなっ…」
「好きだから…勇也にしかしないよ、こんなこと」
「そんなの…んっ…おかしい、だろ…」
「勇也が、可愛いから…」
肩を掴んで仰向けにひっくり返される。
腕を抑えられて強く唇を押し付けられた。
激しく何度も吸い付いて、角度を変えながら舌が絡んでくる。水音と漏れる声が羞恥心を煽った。
キスをされると流されてしまいそうで怖い。激しくて噛み付く隙さえなかった。
唇を離すと切なそうな顔をして耳元で囁かれる。
「っ…ねぇ、いいでしょ」
「…だ、めっ」
「すぐ終わらせるから、いいじゃん、ね?」
「いやだっ…」
「勇也、お願い…だめ?」
「ほんとに…もう、こんなことっ…」
耳元でお願いされるように小笠原に言われると、気がおかしくなってしまいそうだった。それでも自分を保って、流されないように必死になる。
小笠原は、俺の上に乗ったままポケットからスマートフォンを取り出す。嫌な予感しかしなかったが、何かを操作すると聞き覚えのある声が再生される。小笠原は何も言わずに、ただ俺に自分の嬌声を聞かせた。恥ずかしさと屈辱で体が熱くなり、涙が滲んだ。
「い…やだっそれ…消せよ」
「勇也、いい子にして…ね?」
結局普通に脅してるじゃないか。
小笠原は、ズボンと下着を無理矢理下ろそうとする。おれは必死に暴れて抵抗した。
「い、やだっいやだ!やめっ…ろ!」
自分のズボンを掴んで上げようとするが、腕を掴まれて呆気なく脱がされた。悔しくて、苦しくて涙が零れそうになる。
「ごめんね、勇也…でももう」
「…て……たのに」
「…え?」
「信じて…たのに、なんで…」
「勇也…?」
そうだ、俺はどこかで小笠原のことを信じていた。本当に好きでいてくれるなら、無理矢理なんて酷いことはもうしないと。看病してくれた小笠原を見て、勝手にそう思い込んでいた。最低な仕打ちをしたこいつが、すこし優しくしてくれただけで勘違いしていたのかもしれない。
でも、やはり俺はただの性欲の捌け口なのではないか。女と扱いは変わらない、無理矢理するのが楽しいから遊ばれているだけだ。これでは父親と同じじゃないか。こいつのことは嫌いだから、それが悲しいとか、そんなはずはないのに。胸が苦しくて、辛い。涙が止まらない。
「もう…っ脅したり、無理矢理しないって…思って…俺の思い違いだった…最低だ…ほんとに、ぶっ殺す」
「勇也…勇也泣かないで。俺はそういうので泣いてほしいわけじゃないよ…ねえ、」
「わかんねえよ…っお前のこと…」
さっき胸に思ったことを、声に出して漏らし始めた。言うつもりなんてなかったのに、勝手に口が話してしまう。
「勇也…ごめんね、ごめん…」
そう言って俺に服を着させると、熱と涙で力ない俺を抱きしめた。
「ごめん…そんなふうに思ってるって知らなくて…でも俺、勇也のこと本気で…」
さらに強く抱きしめられる。自分でも、何がそんなに辛いのかわからなかった。
「じゃあ、挿れないから…そこは我慢するから…勇也も手伝って」
「は……?」
何故か小笠原は、自身のズボンと下着を脱ぎ始めた。何をするのかと思い狼狽える。
「お、おい…なに、して…」
「今勇也と二人きりで襲いかからない自信がないから…勇也で抜く」
「何言って…お前、おかしいんじゃ…」
すると、小笠原は俺の手を取り、その上から自身の手を重ねて、小笠原の下半身へとそれを伸ばしていった。
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