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第76話Offensive
なんとも言えない不思議な感覚に襲われる。思ったよりもすっと入っていくその棒。
やはり痛かったが、少しむず痒さもあった。言葉で形容し難い。
10cm以上入っていっただろうか。痛みと異物感で声にならない叫びをあげ、顔を歪める。
「っ…!!」
「…痛い?」
「いた…いっ」
「ちょっとそのまま我慢ね」
薄く目を開いて自分のものに目を向けると、先程の棒が中に入ってるのが見える。それだけでも恐ろしかった。
なんだか段々むず痒さが強くなってくる。排尿や射精のような快感に近いものだった。
しかし、自分が尿道に棒を入れて感じているのを察されたくはない。
「ん…っん、あっ…あぁっ…」
「一回少し抜くよ」
「え、あ、待っ…!あっあ、やめ…っ!」
いきなり抜かれると、まるで射精をしたときのような快感がこみ上げてくる。腰の力が抜け、開いた口からは情けない声が漏れていく。
一度ギリギリまで抜いたそれを、再び奥まで入れられる。
「…感じるようになるの早いね、いい子」
「いやっあっ…も、やめ、抜け…よっ」
「じゃあ抜くよ、そんなに激しくはしないけど、ちょっとだけ速くするね」
「ひっあっ…んっやだ、い、やだ」
「…いいねその顔、凄くそそられる」
逃れられない恐怖と快感でどうにかなってしまいそうだ。入れていたそれをまたギリギリのところまで引き抜いて、もう一度中に沈ませていく。今まで感じたことのない感覚に、脚がガクガクと震えた。あまり動くのも危なそうで怖いし、制止するために手を伸ばそうにも縛られていて自由が利かない。
「もう…も…嫌…あぁっ…謝る、からっ」
「謝ったところで何にもならないんだけど」
「ぁ…っ俺が、悪かった…から、ごめ…っん…」
「…前立腺ってどの辺かな、もう少し奥?」
俺の言葉を無視してさらに棒を奥まで押し込む。すると、弾けるような快感が訪れた。
「あぁっ!いや、だ、やめろ…あっ…ん、も、無理だって!」
「ここだね、なんとなくコツが掴めてきたかも」
そう言うと、小笠原はゆっくりその棒を抜き差しし始めた。射精が止まらなくなってしまったかのような感覚。もう本当に耐えられない、意識が飛んでしまうと思ったとき、その棒が引き抜かれる。
「あぁっん…あっ…あ…」
「気に入ってくれたみたいだね、入れやすくなっただろうから、こっちも使ってみよっか」
「いやだ…もう…そんな、入れたくな…」
「だから、拒否権ねえって言ってんだろ」
「他なら、何でもいいから…それだけは」
「…そう言うなら」
その言葉を聞いて、少し安堵する。何をされても嫌なことには嫌なのだが、もうこれ以上ここを責められたら本当におかしくなってしまう。
しかし、小笠原はシリコン製のもう一つの棒にジェルを塗り始める。先程のステンレス製のものは緩やかな曲線だったが、シリコンの方は直線で、棒に凹凸がある。そしてその棒の先の小さなリングに小笠原が指をはめた。
冷や汗が伝う。やめてくれるのではなかったのだろうか。自然と首を横に振って拒絶をするが、そんなことお構い無しに尿道口にそれをあてがった。
「なん、で…もう、嫌だって…」
「今風邪ひいてるわけじゃないし、勇也は体力もそれなりにあるから大丈夫でしょ」
「っ大丈夫なわけ、ねぇだろ…!」
「もう勃ってるし、気に入ってくれたんじゃないの?」
「…ふざ、けんな…あっ」
俺のものを掴んで緩く扱きあげる、そして、また尿道口を指で広げ、つぷりとシリコンの棒が侵入してきた。
「…動かすよ」
「ぁ…っやだ、あ…っ無理、むりっ…あぁっ!」
奥まで入ったかと思うと、そこで棒を細かくクルクルと動かし始める。今までの中で一番強い快感かもしれない。中にそれが入ったまま扱かれると、気持ちが良すぎて頭の中がめちゃくちゃになった。どうしようもなくて、わけも分からず涙が出てくる。
「ほら、最初の威勢はどうしちゃったの?勇也はもっと強い子でしょ」
「うっあっ…あ、嫌だ…あっん、ん…」
「抵抗しないの?泣いてもやめてあげられないよ」
「だって…あっ…腕、縛って…」
「そうだったね。まぁ、これはちゃんと約束してたことなんだから逃がしたりしないけどさ」
一体何が言いたいんだ。嫌がるのを見て楽しんでいるのだろうか。抵抗するも何も考える暇がなく、ただ声を漏らしながら言葉だけで拒否する他なかった。
また少しずつ棒が抜かれると、表面の凹凸が中を擦ってよりいっそう快感が強まる。
「あっや…急に、抜かなっ…あぁっ」
「そう?じゃあまた入れるね」
「いやだっあっ、も、無理だって、あぁ…んんっ」
「そんな誘うような顔しちゃって…ほんとに淫乱だね」
「やっ…ちが、違う…んっそれ以上、動かさなっあっ!」
俺の反応を楽しみながらその棒をクリクリと動かす。もう射精感がこみ上げてきているはずなのに、この棒を出し入れされているので何がなんだかわからない。
小笠原は、片方の手を俺の頬に当てた。
「ねぇ、勇也は俺のこと嫌い?」
「んっ…こんな、ことされて、好きになるわけ…ないだろ…!」
「こんな事されて嫌なはずなのに、感じちゃってどうしようもなくなってる勇也が俺は好きだよ」
「うる、さ…あっんんっ」
言葉の続きを唇で塞がれる。キスするのはずるいと思った。やけに上手いのは少し気に障るが、気持ちがいいのは確かだった。思考がよりいっそうぼやけていく。
「…もう目に力はいってないけど、大丈夫?」
「あ…ああっ…ん…う…」
「そろそろ頃合かな、こっちも使うね」
そう言って、中に入ったものはそのままに、別の玩具を取り出した。それは、大きくはないが特殊な形をしたものだ。
「待っ…これ、抜い…」
「そのままのほうがいいらしいよ?ドライでイケるようになるといいね」
「そ…なの、いい、イキたくないっ…」
「絶対気持ちよくするから大丈夫、信じて?」
そういうことを言ってるんじゃない。何が〝信じて〟だ。少し気を抜けばすぐに襲いかかってくるくせに。こういうことをしてこない普段の小笠原なら、受け入れてやらないこともないのに…
小笠原の俺が好きという感情がわからない。そもそも俺は人を好きになるなんてことは無かったが、同性を好きになるとはどういう気持ちなのだろうか。
「確か、エネマグラって言うの。ちゃんとヤスリかけたし綺麗にしておいたからいつでも入れられるね。これはお尻の方に入れるやつだから安心して」
「どこに入れるとか、そういう問題じゃ…」
「あ、その前に慣らさないとね?ごめんごめん」
小笠原はローションを手に取って、自分の指に塗ると、俺の下半身へと手を伸ばして穴にあてがった。体に緊張がはしる。まだ尿道にはあの棒がはいったままだ。
俺の中に、小笠原の指がはいってくる。身体が震えて、唇を噛み締める。
「あっ…うっんん…」
「…二本すんなり入るようになったね」
「やぁっ…ん…や、めろ…」
「ほぐさないと入らないよ…痛いの嫌でしょ?」
二本入った指が、中でうねうねと蠢く。その度に肩を震わせて甘い声が漏れた。前立腺の辺りを掠めると、尿道からの刺激と相まって仰け反ってしまうほどの快感に襲われる。
「はぁっ、あっ、やっ…んんっ、あ、そこ、だめ…むり…っ」
「ここがいいんだね…そろそろ入れられそう?」
「あっ…あ、やだ…」
「この体勢だと入れづらいから、ちょっといい?」
俺の体を持ち上げ、胡座をかいた小笠原の膝の上に乗せられる。相変わらず腕は縛られたままだった。身体が密着すると、不整脈が酷くなる。小笠原の顔が近くにある、お互いの吐息がかかり合うようだった。
「ぁ…っん…今日は、も、やだ…」
「そんなこと言わずに頑張って、俺だって色々辛いんだからさ…ほら、これ入れるから力抜いて」
「ああ…っん、嫌だ…あっあぁ…」
そのエネマグラと呼ばれた玩具が、抜かれた指の代わりに挿入されようとしていた。
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