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第79話Offensive④

息が苦しい。小笠原は、楽しそうに俺の顔を見ながら、扱く手を止めない。 おかしくなるくらい気持ちいいのに、リングのせいで出せない。中には何も入っていないから、中の刺激も足りない。 「うっ…あ…あ、も、嫌だ…お願っ…これ外し…っ」 「素直になれば外してあげるよ」 「…んっ…気、気持ちいいから、だからっ…はやく」 「じゃあ、俺の入れてもいい?」 「そ、れは…嫌だっ…あっ」 それだけは認めるわけにはいかない。だって、それを認めてしまったら俺は… 「粘るね、辛いままでいいの?」 「なら、もっ…さわん、なっ、んんっ」 「そう、じゃあやめるよ」 「えっ…あっ」 ぱっと手が離される。やめて欲しかったはずなのに、これでいいはずなのに…薬のせいなのか身体が快感を求めるあまり疼きがおさまらない。 俺のものは一向に萎える兆しを見せないし、むしろ余計に脈動している。 「…どうしたの?そんなに物欲しそうな顔して」 「違う…これ、外せ、よ…」 「イキたくないんでしょ?だったらつけたままでいいじゃん」 「そんな……」 拘束はもうされていないから、自分で取ろうと思えば取れる。でも小笠原の前で取るわけにもいかない。それに、取ったら自ら快感を求めて触ってしまいそうで怖い。 「どうして外してほしいの?」 「そ、れは…」 「…出したい?」 「い、いやだ…」 「こんなに辛そうなのに?」 小笠原の言う通り、ものすごく辛い。出したいのに出せない、中の刺激も足りない。きつく張り詰めたそこを、指で弾かれる。 「あっ…」 「本当は中もまだ足りないんじゃないの?」 「そん、なこと…」 「薬のせいにしちゃいなよ…勇也の意思じゃなくて、薬のせい」 「く、薬の…」 悪魔のように耳元でそう囁く。そうだ、薬のせいで俺は…そうじゃなかったらこんなに刺激を求めたりしない。 淫らに中で感じたりはしないんだ。もう今の頭では、明確な判断はできない。 「イキたいんでしょ、勇也…」 そう囁かれた瞬間、背筋がゾクゾクする感覚があった。そのまま唇を奪われ、短く何度か吸われる。離された口からは、いやらしい糸がひいていた。 だめだ、キスなんてしたら 小笠原に全部、溶かされる 「うっ…あ…いき…たい」 「うん、それでどうしてほしいの?」 「これ、外して…出したい…っ」 「俺のも入れていい?」 「そ…れは、嫌だ…」 「…中はもういいの?」 本当は良くない、もっと刺激が欲しい。こんなこと考えたらダメなのに…薬さえなければ…全部薬のせいだ。 疼きが治まらない。 そのとき小笠原が、指を穴の中にほんの数cmだけ入れてぐちゅぐちゅとかき回す。急な刺激に身体が反応するが、まだ足りない。 「んんっあ…やっ、そこ…」 「いいの?ずっとこっちの方ひくひくさせてたけど…中めちゃくちゃ吸い付いてくるね」 「い、いやっ…あっん、だめっ」 俺のものを優しく扱く。どちらも刺激が弱くて余計に辛い。無意識に腰が揺れた。なんでもいいから出したい…中もどうにかしたい。 薬が悪いんだから、俺のせいじゃない。俺自身の意思じゃない。 「…勇也、入れてもいい?」 「んっん…あっ、だ、め…だめっ」 「いいって言ったらリングも外してあげる」 「い…やっあ…んんっ…」 「勇也の中、いっぱい掻き回してあげるよ」 そんな風に誘いながら、俺のものを扱く手を急に強くしてきた。ダメだ、本当にこれ以上はもう耐えられない。 「あっ!あ、やだ…く、るし…出したっ…い」 「入れてもいい?」 「いっあ…やだぁ…っ」 「勇也、だめ?」 そんな、お願いするみたいに言われたら、薬を中に塗られたら、我慢出来なくなるじゃないか 「あっあ…も、わかった、いいから…っだから、外し、て…!」 「…ありがとう」 小笠原は冷たい目で嬉しそうに笑うと、俺を四つん這いの体勢にさせ、ズボンを脱ぎ自身のものを後孔へあてがった。急に体が強ばる。 「あっ…待って、やっぱ、む、無理」 「…待てるわけないじゃん。勇也がいいって言ったんだからね」 「ひっ…あぁっ!」 小笠原のものが中へと入ってくる。中が全て満たされていくようだった。小笠原のものが奥を突くのと同時に、はめられたリングがついに外された。 「あ、あぁっ!うっ…あ、んっあ、あっ」 「動くよ…」 「あ、だめっ、きちゃ、あっ…!」 小笠原がまたもう一度奥を突き上げた瞬間、意識が飛んでしまうような強い快感に襲われ、触れていないのに俺のものは勢いよく精を吐き出していく。 「あっん…やだ、あっあっ、あん、出て…っあ!」 「中突いただけで出しちゃったね…もう満足?」 「やっあ…ま、まだ…あっ」 「リングも外したし出させてあげたでしょ?」 確かにそうだ、でも…今ので余計に、中の疼きが治まらなくなってしまった。 「まだ…なか、足りなっ…ん」 「どうすればいい?」 「うっ…ん、もっと、欲し、い」 「わかった…好きだよ、勇也」 何度も突かれて中を掻き回される。疼きは快感へと変わり、突かれる度に嬌声をあげた。 「あっあ…ん、あっきもち、いっ」 「ん…素直になったね」 「やっ…ちがっあっ!…薬、中に塗るからっ」 「そのせいで中に欲しくなっちゃったの?」 「んっ…」 あまりちゃんと理解出来ていないが、うんと首を縦に振った。 すると、小笠原は笑いを堪えるような仕草をする。なにがそんなにおかしいのかと思っていると、笑いながら言葉を発した。 「中に塗ったの、ただの潤滑剤のクリームだよ。媚薬の効果なんて全くないから」 その言葉は衝撃が強すぎて、脳が理解するのを拒んでしまうほどだった。

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