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第80話Offensive⑤
媚薬の効果なんて全くない?嘘だ、そんなの。嘘じゃなきゃ俺の身体はどうしてこんなに疼いているんだ?
だって、そうしたら…俺が本能から快感を求めていることになってしまうじゃないか。違う、そんなはずない。
「う、嘘だ…っ」
「嘘じゃないよ、ほら」
見せられたのは、先程小笠原が持っていたクリーム。怪しいものではなく、市販でも売っていそうなものだ。
「…ど、して…」
「こんなに感じるのも、中に刺激が欲しいと思うのも、薬のせいなんかじゃないよ」
「や、やだ…言うな…」
「勇也が淫乱だから…」
「違う!やめろ!そんなんじゃ、なっ…あっ」
それを認めたくなくて必死に否定していると、また激しく突かれる。
両手を後ろから引っ張られて、刺激から逃げられなくなった。
「こうされると…っ気持ちいいでしょ?」
「やっあっ…あっちがっ…んっ、抜けよ…あっ」
「そんな、いい声出してるのに…あーその絶望した顔、たまんない…っ」
玩具よりも、ずっと大きくて気持ちいい。どうしてこんなに感じてしまうのか、認めたくない。薬を使ってないはずがない。俺は、淫乱なんかじゃないんだ。
「い…らん、じゃ、なっ…!あっあっん、んん…も、やめっ」
「いい加減、認めなよ。薬使われてるって勝手に勘違いして、思い込みで気持ちよくなってさ…」
「ちがっあ、そんな、こと…っん」
「俺に突っ込まれてケツ振って喜んでるくせに」
小笠原は、屈辱的な言葉ばかり投げかけてきた。
言われる度に、自分の失態、痴態を認めざるを得なくなる。悔しい、呆気なく騙されて自分の本能から快感を求めてしまった。
「あっ…もう…やだ、抜い、て」
「まだ俺イッてないし、さっきいれたばっかりじゃん」
「そ、なの…知らなっあ、んん…っ」
「勇也も…もっと気持ちよくなりたいでしょ?」
そう言って、前立腺のあたりを、今絶対に責められたくなかったところを刺激するように腰の動きを早める。
また内側から強い快感がきて、声をあげずにはいられなかった。
「あっ、やぁっ…そこ、だめ!だめ、だって…あっあ、あ、んん」
「ここが気持ちいい?」
「ちがっあっあっ、や、だめっまた、きちゃ」
「いいよ、イッて…」
嫌だ、また中でイッてしまう。玩具じゃなく、小笠原のもので。
一度射精もしたはずなのに、既に俺のものは硬くなっている。本能の赴くままに、快感を貪ろうとしていた。
小笠原はより一層前立腺への刺激を強めて、律動を繰り返した。まるで、達してしまえとでも言うように。
「あっ、あ、やだ、あっあっん…んっい、いっちゃ…あっいくっ」
身体が震えて、足の先がピンと伸びた。射精はしておらず、やはりまた中だけで達してしまったようだ。しかし小笠原はまだ動いているし、快感の余韻は消えずにまた新たな快感が覆いかぶさる。
「そんな可愛い喘ぎ方、どこで覚えてきたの?」
「お、覚えてきたんじゃ…な、いっ」
「じゃあ自然といやらしい声がでてきちゃったんだね、可愛い」
「やっ…ちが、うっ」
声は勝手に出てくるんだ。与えられる刺激すべてが気持ちよくて、本当に薬を使われたみたいに感じてしまう。
「俺も、そろそろ出したいから…勇也も一緒に出そうね」
「や、やだ…中、出さなっ…で」
「中に出した方が気持ちいいじゃん」
「最、低…あっ…ん、馬鹿…!」
「馬鹿は勇也のほうでしょ。薬のせいにして気持ちよくなったの認めないし」
「いや、あっあ…うっ」
再び硬くなっていた俺のものを扱きあげ、嘲笑うようにそう言った。気持ちよくて、悔しくて屈辱的で、わけがわからなくなって涙が出た。
「すぐ泣いちゃって…可愛い」
「ひっ…うっ…も、もう、やだ…っ」
「ほら、一緒に…っイッちゃおうよ」
「あっん、や、あっ、むり、あっ…あっん」
「…っ出すよ」
「や、やだぁっ、だめ、あっあぁっでちゃっ」
思い切り奥を突かれて、小笠原の熱いものが中に流れ込んでくる。俺も同時に精を吐き出した。
余韻でまだビクビクと身体が震えたまま、小笠原のものが、引き抜かれてまた反応してしまう。
「はぁっ…良かったよ、勇也…」
「んっ…さい、あく…出すなって、言ったのに…っ」
「勇也がすごく締め付けてくるから…後で洗えば大丈夫」
「そういう問題じゃ…!」
「ねえ、まだ足りないでしょ?もう一回しようよ」
小笠原は、いつの間にかもう硬くなってきているそれを俺の尻に擦り付けた。思わずビクっと反応してしまうが、これ以上されたら本当におかしくなってしまう。
「誰が、お前なんかと…」
「さっきまで俺の咥えこんでアンアン言ってたのに、まだそんなこと言うの?」
「あ、あれは…っ」
「薬使われたと思ってたんだもんね?仕方ないよねー?」
「うる、せぇ…くそ…っ」
恥ずかしさで全身がカッと熱くなった。キスをしようと顔を近づけてくる小笠原の頭を鷲づかんで、引き離そうとする。
「なんでそういうことするの?好きでしょ、俺とキスするの」
「好きじゃねえよ、死ね」
「急に強気になるなー…そういう所が好きなんだけどね」
正直あまり力が入っていなかったので、簡単に押さえつけられて形勢逆転される。
「俺は、もっと勇也とシたい」
「俺は…嫌だ」
「そんなこと言わないで、ね?夜が明けるまででいいから…」
そう言った小笠原の顔は、興奮が冷めやらないとでもいったようで、冷たい目でにっこりと笑い何かを企んでいるようだった。
夜は、まだ明けそうにない
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