81 / 336
第81話Offensive⑥
小笠原はすっと片方の手を俺の胸元へと伸ばし、その先端をぐりぐりと刺激する。
刺激から逃げようとするが、腕を押さえつけられているのでそれは出来なかった。
「んっ…なに、すんだよっ」
「あんまり触ってないから触ってほしいかな〜と思って」
「んなわけ、ない、だろっ…んっ」
「こっちで感じちゃったら本当に女の子みたいだよね」
「やめろ…っ触んな…あっ」
そんなこと言われたら、本当に感じるわけにはいかない。それなのに今日はどうしたんだろうか、触られるたびにビリビリと痺れるような感覚がある。
「ね、もう一回しよ?」
「嫌だっ…こんな、ことまで約束、してなっ…」
「約束〜?今更じゃない?」
「はぁっ?!ふざ、けんな…!」
「ねえ、いいでしょ勇也」
そう言って胸の先端を口に含み、歯を立てて刺激する。
「いっ…あっ、やめっ…」
「勇也がいいって言ってくれるまでやめない」
わざと音をたてながら吸い付き、舌で転がされる。普段ならこれくらい振り払うことができるはずなのに、力が全く入らない。
「んっ…ん…ぁ」
「声、我慢しなくていいのに」
「我慢、なんて…してなっ…あっ」
「さっきはうるさいくらい喘いでたじゃん」
こいつにうるさいなんて言われる筋合いはない。唇を噛み締めて声を抑えるが、どうしても時折声が漏れてしまう。
「んっ…ん…ふっ…あっ」
「…こっちも反応してきてるね」
「や…ちが、触んな…!」
いつの間にか芯を持ち始めてしまった俺のものに触れて、指先で弄ぶ。今そこに触れられたら、嫌でも反応してしまう。
「俺だって無理矢理はしたくないから、許可取ろうとしてるのに…」
「許可、なんてっ…あっ…するわけ、ないだろ」
「さっきはいいって言ってくれたのに?」
「あれは、違う、からっ…んっ」
「違うって何が?女の子みたいに中でイッちゃって、突くたびに善がってたのに、何が違うの?」
「よ、善がって、なんか…っん」
言葉で責められると何も言い返せない。
実際、小笠原の言っていることはすべて事実なのだ。それでも自分では認めたくたいし、これ以上感じたりなんかしたくない。だからやめて欲しいのに、一向にやめてくれない。
「嫌だ嫌だって言っておきながら、凄く気持ちよさそうにしてるし…こういうの好きなの?本当にド変態だね」
「や、変態じゃ、なっ…あ、だめ、入れなっ…で」
「好きなだけ、善がっていいよ…」
「いや、だ、もう…あっだめ、だって、あっ!」
遠慮なく小笠原のものが中に入ってくる。
わざとなのか分からないが、浅いところで出し入れを繰り返すので思っていた程の刺激はなく、それでいいはずなのに、何だかもどかしくてもの足りないと感じてしまう。
「…俺は、これだけでも充分気持ちいいけど、勇也は…?」
「んっん…ん…」
「物欲しそうな顔してるけど…足りない?」
「そ…んな、こと…」
本当は、もっと奥まで突いてほしい。でもそんなこと言えるはずないし、それを悟られてはいけない。このまま小笠原が達するまで我慢すればいいだけ…
「本当は…こうして欲しいんじゃないの?」
「いや、あっ…!」
いきなり奥まで突き上げ、前立腺あたりを責めながら腰を動かす。自分でも締め付けているのが分かるし、待ちわびていたかのように身体が喜んだ。
小笠原は、もう俺がどこを責められたら気持ちいいのか全てわかっているようだった。
「…ほら、いい顔になってきた」
「あっ、もう、嫌だっ…やめろよ…っ」
「ずっとそればっかりだけど、もっと他の事言えないの?」
そう言って、さらに動きを早める。もう目の焦点が合わなくて、ただひたすらに嬌声をあげながら快感を享受した。
「あっあっ、い、やだ、また…いっちゃ…っ」
「勇也だけ先になんてイかせないよ」
ピタッと小笠原の動きが止まる。
呼吸が乱れて苦しい。どうして急に止まってしまったのか。絶頂を迎えそうだったその矢先に寸止めされて、もどかしさでまたおかしくなってしまいそうだ。
「なん、で…」
「イキたいんだったら、勇也が上で動いて」
「は…?」
繋がったまま俺のことを抱き寄せたかと思うと、そのまま小笠原が床に寝る姿勢になる。
所謂騎乗位の体勢だ。深く奥まで入ってしまうから、それだけで感じてしまう。
小笠原は楽しそうに笑みを浮かべている。自分ではどうしていいかわからず、また逃げることも出来なくて、ただひたすら呆然と小笠原の上に跨っていた。
ともだちにシェアしよう!