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染まる
激しく抱き合った後、意識を飛ばした隼人を抱きしめて眠る。
心から欲しいと想い、離したくないと本能丸出しで求めてしまう。
こんな気持ちに自分がなるなんて思わなかった。人より冷めていると思っていたはずが、我を忘れて求める自分がいる。
しなやかに受け止めてくれる隼人に無言の我儘をぶつけてしまう。こんな気持ちになるのは隼人だからだ。
学生でもあるまいし片思いなんて口にすることも恥ずかしかったが、それは一途に隼人だけを思い続けた二年間だった。
毎日微笑んでくれる表情に癒され、躊躇うように見つめてくれるその視線は何を含んだものなのかと考えた事もあった。
あどけない寝顔にそっと触れてみる。あの表情は俺と同じ気持ちだったなんてな。
所構わず触っていたいし、隙あらば閉じ込めてしまいたくなる。
そんな俺の気持ちなんて知らない隼人はいつも隣で笑っている。
愛しているよ。どこにもいかないでくれ。ずっと俺のモノでいてほしい。
そう思えば想うほど、気がつけばいつも満たされているんだ。エスパーじゃないかと疑ってしまう時がある。
繋がっている。通じ合っている。気持ちが一つに重なり合っているのか。
どれでもいい。隼人が俺を愛してくれるなら。なんだって。
朝から晩まで。頭の先から爪先まで俺のことだけを想っていて欲しい。俺がそう想って生きているように。
隼人のすべては俺の全部。
これが君色に染まるってやつなのか?
それもいい。隼人の色に染まるなら。いくらでも塗り替えて欲しい。そして俺の色に染まってくれ。
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