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わがまま

昨日は無理をさせてしまった。 可愛く誘う隼人が悪い。それに煽られる俺も悪いんだけど。 歯止めが効かない。こんなことは初めてだ。惚れてるからそんな言葉ではいい表せない感情が俺を煽るんだ。 想い続けていた2年間が実って気持ちのセーブをしなくてもよくなったからだろうか。 隼人を知れば知るほど駆り立てられ衝動を抑えることはできないんだ。 昨日もそう。どんどんと色香を放つようになった隼人を取り込む勢いで求めてしまった。 意識を手放すまで離してやれなかった。 ぐったりと眠る寝顔に無理をさせたことを悔やむのは毎度のことだ。 抱いても抱いても足りないこの感情をコントロールできなんだ。 「ごめんな…隼人…」 触れる髪はふわふわと柔らかく絡めたくなる。男にしてはヒゲも薄くキメの細かい吸い付くような肌にずっと触れていたくて指先で首筋から鎖骨を撫でてみる。 「…なんで謝るんです?謝ることなんて何もない…僕は幸せですよ…」 薄っすらと開いた瞳は俺を映して優しく微笑んだ。 「我慢してないか?」 「してませんよ」 「もっとわがまま言ってくれ。隼人の思うこと全部したいんだ」 願いように伝えれば伸びてきた長い指が頬を掠める。その手を絡め取って握りしめた。 「これがわがままでしょ。幸せだって言えば琥太郎さんはもっと幸せにしてやろうとしてくれる。こんなに愛されて…この身体の痛みも幸せの痛みですよ。わがままを聞いてくれてありがとうです」 幸せだということがわがままだなんて…そんなわがまま聞いたことがない。 「じゃあ、もっと幸せだと言ってくれ。いくらでも幸せになるわがまま、聞くから」 くるしげに身体を仰向けにし、両手を伸ばして俺を抱きしめる。 その腕の中は甘く満たされる幸せが溢れそうに詰まっていた。

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