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忘れられない夜

相手の気持ちを考えるほど難しいものはない。相手の立場になって考える。考えたところで本当の気持ちなんてわかるはずがないと所思していた。 そう、俺は「人の気持ち」そういった類いに疎いらしい。りゅうが口うるさく言明し続けるそれだ。 今まで付き合ってきた相手が、口を揃えるように『私の気持ちなんてわからない』『貴方には一生わからない』と嫌味を吐いた。 そんなもの、わかるわけがない。そいつじゃないんだし、そんなものはどうすりゃいいのかなんて深く考えたこともなかった。いや、考えようとしなかったし、考えるふりをしていたのかもしれない。 それ以上にお前にも俺の気持ちなんてわからないだろうと意中はこうだった。 そんな俺が、どうしても気持ちを知りたいと切望する相手がいる。 何を思っているのか、何に涙を流し、何を見て笑うのか。 それを知り尽くしたい欲動は止まらない。今じゃ『なんでも言ってくれ』『心底にある想いを知りたい』と何度となく口にし、アンテナを張り巡らせて感知しようとさえしている。 まさに青天の霹靂だ。 そんな折、隼人は感情剥き出しで理性を捨てろと泣いた。その意図するものは?何に対してなんだ?と心中は慌てふためいていた。 いつもの隼人じゃない。いじらしく欲しがる痴態に気を良くしていた矢先、そんな俺の浅はかな目論見なんて、それこそ隼人の気持ちを分かってなかった。 ほしいと泣き悶える姿は、優越に浸らさせてくれる。一緒にいたいともがき苦しむ姿は見るに耐え難いが、それほどまでに俺を欲しがる隼人が愛おしくて堪らなかった。 『隼人の気持ちなんて一生わからない』 過ぎった恐ろしい言葉に背筋が凍る。あの頃はこれほどまでに恐ろしい言葉だとは思わなかった。 分かりたいなんて戯言だ。隼人抱える想い、こんなに必死で求めてきたことがあっただろうか。 欲しがる隼人の願いを叶えてやりたい。それが少しでも隼人の心に寄り添うってことじゃやいのか。求められるなら、精一杯最大限に与えてやりたい。 そう気つけばいても立ってもいられなかった。ネクタイを外し、手足を纏めて括りつけた。露わになる蕾がヒクヒクと俺を誘う。 その痴態にプツンと、何かが切れた音がした。 それからの俺は貪るように隼人の身体に食らいつき、白い肌にいくつもの紅い跡を撒き散らせ、身体を侵食させるかのように最奥を犯すように攻め立てた。何度目かの射精で意識を飛ばした隼人の中の最奥に自らのモノも吐き出した。 ダラりと垂れる腕、目を開けない隼人の身体を抱きしめ、意識が飛ぶ寸前まで欲しがったその姿は俺に渇望し続けるようで、胸が痛いほど締め付けられた。 泣き続け赤くなった目元をなぞり愛される幸せを噛み締めた。どこまでも強靭な愛情を向けてくれる。 そこに胡座をかいてはいけない。それでも嬉しさは溢れてしまいそうで返事の帰ってこないその寝顔にキスを落とす。 君の想いが溢れた夜。忘れられない夜の寝顔をいつまでも見つめ続けた。

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