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高嶺の憂鬱

隼人は超可愛い。本当に可愛いんだ。 初めて見た時のあの女神のような輝きは幻じゃなかった。 どこからどう見ても完璧だ。 控えめで邪悪な心を持たない性格と一途に想いを潜める隼人は堪らなく愛おしい。 小さな顔に黒目の大きな瞳と小ぶりながら鼻筋の通った形のいい鼻。綺麗な長い首筋、長い手足に細い腰。抱きしめればこれがどうして測ったようにジャストフィットだ。 男の尻とは思えないようなプリっとした尻は触り心地がいい。 俺の俺だけのモノになった隼人を抱きしめて眠れる事はこの上ない極上の至福の時だ。 こんな可愛い奴が誰にも手付かずなんてまあ、あり得ないだろう。だけど今は俺のモノだ。 若干、いや、多いに妬いている。この滑らかな肌を誰かに触られたのかと思うと胸の奥底から黒いモノは湧き上がってくる。 りょうは隼人は男を知ってると言った。予想は予想でしかない。確かめられるのは俺だけだ。 俺に身体を開いた隼人は瞬きするのも勿体ないくらい眩いくらい綺麗で妖艶で、その肌にその身体に食らいつくように抱き虜になって我を忘れた。こんな事は初めてだった。 恥じらうような儚い裸体は穢れを知らないように見えたんだ。そう見えたんだ。 だがしかし、甘い情夜を過ごした今、隣で眠る隼人の頬に触れ、悔しさと苛立ちで頭を抱えていた。 誰に身体を許した?この綺麗な身体を誰に触らせた?口にするのも悍ましい感情が渦を巻く。 擦り寄る隼人に絆されそうで頭をもたげる。 幸せそうに眠る隼人は少なからず俺と出会ってから俺に夢中にだった。その熱い視線に気がつかない奴はいない。手に触れてやればはにかみ控えめに微笑む姿が堪らなく、頬を撫でてやれば紅く染め瞳を潤ませて見つめてくる。 その前か…出会う前に君は誰かのモノになったことがあるんだな。 ああ、隼人。もう少し早く出会っていれば君の全ては俺のモノだったのに。と悔やんでならない。 「高嶺さん…」 寝言で俺の名前を呼ぶ君は俺の夢でも見ているのか。 愛しいよ。君の全てが。 そっと顎を持ち上げ可愛らしい唇にキスを落とす。 ほんのり微笑んだ表情が堪らなく、この腕に抱きしめる。 結局どうしても隼人が好きで愛おしい。出会って二年ずっと見つめてきたんだ。例え毎日の数分の戯れでも俺は全神経を注いで隼人をくまなく見てきた。 「もう…入りません…」 何を入れてるんだ?邪な気持ちに身体が熱を持つ。 一喜一憂とはこのことだ。隼人に振り回され、オドオドしている道化師だ。 それもいい。隼人にならなんだっていい。 事のつまりは愛して止まない俺の嫉妬。 何があっても離さないと決めたんだ。これからの未来を考えよう。 もうすぐ夜が明ける。 このまま隼人を抱え込んで眠ろう。 目が覚めてその俺に向ける笑顔に癒されることにする。 俺の煩悩も嫉妬も全て隼人で成っているんだから。

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