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相手は男の人でした
男の人は私が来たのに気づいたらしくこっちを見てにこっと笑った。
知らない人だと思ったけどなんとなく見覚えがある気がする……誰かしら?
茶髪で左耳にピアスが1つ付いている。
それだけ言うとチャラい人っぽく聞こえるけど全然チャラそうには見えない。
「ごめんね、来てもらっちゃって」
「いえ、大丈夫よ」
目の前にくると相手がかなりでかいことがわかる。
私と20cmくらいは違うんじゃないかしら?
あの人はでかすぎるけど私は小さすぎるのよね。つまり超極端。そういうことにしておきましょう。
というかあの髪は染めてるのかしら?まぁ染めていたとしてもここの学校校則緩いから大丈夫なのよね。ピアスも付けてるけどそれも全然大丈夫らしいなら何も言われてないのよね。
「その様子だと多分俺のことわかってないと思うだろうから自己紹介するね」
いつの間にかジロジロ見てしまっていたらしい。
「1年10組篠宮光琉。バスケ部に入ってる」
1年10組って……この人同じクラス……?
しかもバスケ部って拓麻と同じじゃない?
「ちなみに、隣の席だよ。」
なんですって? 隣の席って言いました?
ごめんなさい、私なんにも覚えてないわ。
でも見覚えがあったのは確か。
多分いつも男子の中心にいる子。
そして女子に人気がある子。
「思い出してくれた?」
「ええ、なんとなくは。ごめんなさいね」
「いやいや、仕方ないと思うよ。毎日あんなに女子に囲まれているんだから」
間違ってはいないわ。
男子よりも女子といつも一緒にいるせいで女子の名前は覚えたけど男子は誰1人として知ってる人はいない。あ、拓麻以外でね。
「あの、それでご要件は?」
本題を忘れちゃだめよね。
危なくまた自分の世界に入っちゃうところだったわ。
「ああ、それね。上山、俺と付き合ってくれない?入学式の日初めて見て一目惚れした。」
冒頭に戻る。
何故か私は男に告白をされました。
「あの、私男よ?どうして?」
「好きになるのに性別は関係なくない?」
篠宮くんは眩しいくらいに輝く笑顔でそう言った。
はい、そうですね……。爽やかキラキラスマイルで言われるとはいとしか言えないわ。
「1週間でも1ヶ月でも1年でも悩んでくれていいから返事はちゃんとしてね?」
じゃあねと言って男の子……篠宮くんはドアの方に向かって歩いていく。
しかし、ドアの目の前でこっちを向いて
「また明日ね」
と言いにこっと笑い去っていった。
それと同時に胸がドキッとした。
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