Side光琉 今日俺の約3年の片思いが成熟した。 紅葉には入学式の時に一目惚れしたと言ったが、本当は３年前の吹奏楽コンクールで一目惚れした。 ３年前、俺は従姉妹がコンクールに出るから見に来てと言うので見に行った。 そこで他の学校の演奏を聴いているとある人が目に入った。それが紅葉だった。 俺はその時紅葉の真剣な眼差しを見て惚れた。初恋だった。周りの音は何も聞こえなくなり、人も紅葉以外誰1人見えなくなった。 紅葉の学校の演奏が終わると俺はふと思った。 あの人は男か女か、どっちなんだ……？ と。 正直言って性別はどうでも良かったのだが気になってしまった。 髪は長いのに制服はスカートではなくスラックス。そしてネクタイをしている。長髪の男か、それとも女っぽいのが嫌な女か。 その疑問はすぐに晴れた。そう、トイレだ。 トイレに行きたくなって行くと紅葉が男子トイレの方から出てきた。そして先輩らしき人に｢上山くん｣と呼ばれていた。 紅葉が男だとわかった時俺は 男でもいっか。好きになったもんは仕方ねぇ。 と思った。 同性愛に偏見は全くない。なぜなら俺の兄貴がソッチの人だし父さんもバイだと言っていたから。 好きになってしまったはいいが、再び会える可能性は低い。この気持ちが彼に伝わることはないだろう。 ずっとそう思っていた。 しかし、高校の入学式の日に新入生代表挨拶を紅葉がしているのを見てハッとした。 あの時の子ではないか！ その時俺は運命を感じた。“運命なんてそんなものあるわけない”とずっと思っていたが、この時その考えは一変し“運命は存在する”と思うようになった。 入学式が終わり教室に戻ると式前は緊張していて気づかなかったが、紅葉が隣の席にいた。 これはもう告白するしかなくないですか？ そう思ったが、その時はまだ名前も知らなく、紅葉も俺のことを全く知らなかっただろう。ゼロから始めるのもいいかもしれないが、入学して日も経たないうちに告白するのはどうかと思い少し待つことにした。 その日の帰り、俺は幼馴染みの蒼馬……“アオ”に相談をすることにした。内容は“いつ告白をするべきか”。 しかし、アオから返ってきた言葉は“知らん。自分で考えろ”という冷たいものだった。 アオには俺が約３年前紅葉に一目惚れしたした時に男を好きになったと言っていた。アオも俺の兄貴と同じくゲイなので特に気にすることもなく言えた。