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懐かしの吹奏楽部

放課後、私は優香ちゃんと芽依ちゃんと一緒に音楽室へ向かった。 「いーちゃん緊張してる?」 「んー……あんまりしてないわね」 「紅葉緊張しない人だからねー」 確かに今まで私は緊張したことがないと思う。 色んなコンクールに出てきたが1回も緊張したことがない。それどころか楽しいと思い練習の時よりも活き活きとして演奏することが出来ていたと思う。 入学式の代表挨拶も緊張はしなかった。 「1回は緊張してみたいわね」 「そんなのしない方がいいって!緊張してもいいことないよー?」 「緊張を知らない人生っていうのも面白くていいかもね」 この2人は緊張をすることに反対なのかしら? まぁしようと思ってできるわけではないからきっとこの先も私は緊張というものを知らずに生きていくのでしょうけど。 「さーって!着いたよ!」 「入るかぁー!行くよ紅葉」 「えぇ」 ガチャ 「こんにちはー!」 「こんにちは」 「こ、こんにちは」 音楽室に入り挨拶をすると色んなところから“こんにちはー”と声が聞こえた。 この感じ、懐かしいわね。中学生の頃に戻ったみたい。 音楽室内は鞄から楽譜やチューナー、ハンカチなどを出す人や、準備室から楽器を持ってくる人、それから、椅子に座って雑談をしている人などでいっぱいだった。 「おっ、君、新入部員?」 早速誰かに話しかけられた。 ネクタイの色からして2年生かしら? 「えぇ、そうです。1年10組の上山紅葉です。よろしくお願いします」 「よろしくねー。俺は「おぉ!上山じゃーん!吹部入るのかー。よろしく!」 「…………」 誰かわからない1年生が割り込んできた。 先輩喋ってたのに遮っていいのかしら……。 先輩すごい顔してるわよ……。 「よぉぉぉしぃぃぃだぁぁぁ!!今俺が喋ってただろう!?お前には俺が見えないのか!??」 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!痛い痛い痛い!!せんぱっ、ちょっ……耳痛いです!!」 2年生の先輩が1年生の……吉田と呼ばれた子の耳を思いっきり引っ張っている。 すごい痛いそう……。耳が真っ赤っかね。 「いーちゃん気にしなくていいよー。いつものことだから!」 「そうよ。気にしてたらキリないから」 「そ、そうなの?」 誰も気にしてない様だから大丈夫なのかしら。 「ミーティングするよー」 部長らしき人が声を発する。 この一言だけでみんなが席に座る。もちろん、先程まで騒いでた2人も。 私はどうしたらいいのかわからなくただただ立っている。 すると、芽依ちゃんが「ここ座って」と椅子を引っ張ってきた。私は「ありがとう」と言って座った。

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