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やりたい楽器
「気を付け。これからミーティングを始めます」
「「「「「始めまーす」」」」」
大勢の人がいる部活は声の量も多い。
「今日は新入部員が来たので合奏はしません。各パートのパートリーダーはミーティングが終わったら集まってください。先生から」
「はい、えー、まず上山くん、自己紹介しよっか」
先生がそう言うと部員全員が私の方を見る。
何これ……なんか威圧感?があるわね。
とりあえず自己紹介をしないと視線はなくならないので立つ。
「1年10組の上山紅葉です。えっと……よく女子に間違われますが男子です。んー……あ、中学校でも吹奏楽部に入ってました。よろしくお願いします」
パチパチパチパチ
自己紹介とか何を言っていいかわからなかったから戸惑っちゃったわ。
苦手なものが殆どない私だけど自己紹介は苦手なものの一つだ。
「えー、上山は広瀬の紹介みたいなもので吹部に来てくれた。くれぐれも変なことはしないように!退部されちゃうかもしれないからなぁ。以上だ。」
はっはっはと先生は笑う。
先生、変なことならミーティング前に見ましたよ……。
「気を付け。これでミーティングを終わります」
「「「「「終わりまーす」」」」」
これから私はいろんなパートを回るのかしら。
なんでもいいけどできれば好きな楽器を担当したいわよね。
「紅葉、先生呼んでる」
「ん、ありがとう」
呼び出しされた事だし、行きましょうか!
私はドアの前にいる先生のところへ向かう
「先生」
「おぉ、来たか。上山、お前できない楽器とかやりたい楽器とかはあるか?」
「そうですね……」
小さい頃から色んな楽器をやってきた。
でも弦楽器はできないことはないけど苦手だった。
コントラバスは絶対やりたくないわね。
好きな楽器は金管なら全部好き。中学でもやってたトロンボーンは大好き。
木管は好きでもないし嫌いでもない、普通だった。
打楽器はティンパニが好きなだけで他は特になんとも……という感じだった。
「できればトロンボーンをやりたいですね。もし無理なら他の金管楽器で。コントラバスとパーカッションはあまりやりたくないです……」
「トロンボーンか他の金管……な。うん。人数的には問題ないからトロンボーンできると思うぞ。でも一応金管楽器一通り吹いてもらおうかな」
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