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リア充
久しぶりの部活は時間が経つのがあっという間で、気づけばもう下校の時間になっていた。
部活がある日も拓麻と一緒に帰っていると言うので私は芽依ちゃんと優香ちゃんと玄関に向かっている。
あぁ、そうそう、パートはトロンボーンに決まったわ。先輩も楽しそうな人達だったし、同じクラスの子……しかも結構仲がいい子もいたからそんなに身構える必要もなくて良かったわ。
明日からがすごく楽しみ。
「紅葉マイ楽器持ってくる?」
「あ、どうしましょ……。マイ楽器の人どれくらいいるの?」
「10人くらーい?」
「うん、そんなもんね」
楽器のことなんて完全に忘れてたわ。
トロンボーン自体は3本くらい家にあるから持っていっても特に問題はないけど……。
「マイ楽器の方がいいのかしら」
「私はそう思うけどね」
「学校の楽器って結構錆びてるしねー」
「そう。なら自分の持って行くわ」
「ん、そうしな」
それから部活のことをいろいろ喋っていると拓麻が来た。
みーくんと一緒に……。
確かに部活が同じだから一緒に来てもおかしくはないけどなんで来ちゃうのかしら!私の!気持ちを!考えて!
「お待たせ。先生話長くってさ〜。時間かかったわー」
「本当遅いわ。待ちくたびれたー」
「ごめん」
「ごめんじゃない!遅い!タイムリープして早めに帰ってきなさい!」
「そんなんできるわけないじゃん!俺にそんな能力ねーよ!」
優香ちゃんが怒って拓麻が謝っている……と思ったらなんか違った。優香ちゃんが怒ってるには変わりないけど拓麻の反応が違う。
優香ちゃん……タイムリープなんてできる人少ないわよ……この世にいても3人くらいでしょう。
…………というかこれ何分続くのかしら……。
なんて考えているとみーくんが私の方に来た。
「紅葉」
「っ……何?」
「一緒に帰ろ?って言ったって俺徒歩だから駅までしか行けないけど」
帰りたい……けど迷惑にならないかしら?駅まで来るってことは完全に遠回りになる。
でも迷惑なことをわざわざ言ってこないわよね。
「紅葉?」
「帰……りたい……です……」
欲望には抗えない。
「じゃ、帰るか!あの2人は……どうする?」
みーくんが困ったように笑ながら言う。
「置いていきましょう。芽依ちゃんはどうする?」
「ぅえっ?私?いーちゃんの邪魔になっちゃうからこの馬鹿2人組と帰るよー!」
「え、あ、わかったわ。じゃあね」
「ん、ばいばーい!」
「行こっか?」
「ええ」
芽依ちゃんにフラれたのでみーくんと2人で帰る。
なんかリア充感満載で照れくさいけど嬉しいわね。
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