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覚の章12
『あ……すずかけ……あっ……あっ……』
月明かりの差し込む、玉桂の部屋。玉桂は頬杖を付きながら、ひとつの映像を眺めている。
壁にたてかけられた鏡。そこに映るのは玉桂ではなくーー浴場にいるはずの、織の姿だ。玉桂の妖術によって、浴場にいる織の様子がこの鏡に映し出されているのである。
「ふ……、あれほど染めてやっても尚、あの竜神のことを想い続けるか。淫らなことをして……ふふ、憂い奴め」
鈴懸の名前を呼びながら自慰をする織。顔をとろけさせ、切なげに吐息をこぼしながら、乱れている。
そんな織をみて、玉桂は激怒することもなく……にたにたと笑っている。その瞳に浮かぶのは――これから待つ甘味への、高揚感。
「仕置きが必要だな、咲耶」
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