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覚の章22
祝福の歌が響いている。賑やかな楽器の演奏と、狐たちの歌声。皆が音楽を奏でる中、舞台に立った1匹の狐が新郎と新婦の入場の声をかける。
舞台の袖から、ゆっくりと玉桂と織が現れた。その瞬間、拍手喝采が巻き起こる。
「玉桂様よ!」
「今日も一層お美しいわ……!」
「新婦様もいつもよりも淫靡ねぇ」
堂々と歩きながら、狐たちに笑いかける玉桂。そして、その横を静かについて歩く織。婚儀の宴の始まりの高揚が、会場ごと高まっていく。
「今日はよくぞ集まってくれた、愛する乙女たちよ! 今日という日を一緒に祝ってくれたまえ! さあ、紹介させてもらおう。この美しいひとが、私の嫁となる、織だ」
玉桂が声をあげると、狐たちが興奮したように騒ぎ出した。玉桂に寄り添う織に、皆釘付けである。
側室たちの嫉妬すらも寄せ付けない、織の淫靡さと美しさ。玉桂と共に舞台の中央に腰を下ろすと、皆がすっと静まり返る。
「ふふ、狐たちよ、その目でしかと見るがいい。織の美しさを」
「あっ――」
玉桂の手が織の首に触れれば、狐たちが色めき立つ。淫らさこそ、美しさ。艶やかさこそ、玉桂の嫁に必要なもの。その価値観を持つ狐たちにとって、ここからが大切な時間。
織の淫らさを、品定めする時だ。
「たま、かつらさま……」
織が両手で唇を覆う。淫らな声が溢れてしまいそうになったから。こんなにも大勢の前で乱れるのは、やはり恥ずかしい。首筋を撫でられて、ゾクゾクとして、全身が火照ってくるのに耐えるように、織は声を我慢する。
「あ、ぅっ……」
するり、と織の肩から着物が落ちた。そうすれば美しい織の体が顕わになって狐たちの興奮が高まってゆく。
織の体は、狐たちが初めて見た時よりも淫靡なものになっていた。体を見ただけで、この人間は淫らな人間だとわかるくらいに。
白い体は抱き心地がよさそうにつるつるぴかぴかとしていて、ほんの少し丸みを帯びている。胸元にぽつんとある乳首はぷくりと膨らんでいて、柔らかい桃色。生々しくはないのに、清廉としてはいるのに、むわっと色香が漂う織の体に――狐たちは息を呑んだ。これが、玉桂に調教され続けてきた織の体。これが、玉桂の嫁になる人間。
「くく、恥ずかしがるな。皆、おまえのことを祝福したいのだ。さあ、大切な所も見せてやれ。私の精を受け入れる、おまえの大切な大切な部分を」
「……そ、んな……」
「私の嫁になるのだぞ。織……さあ」
「……っ、」
かあ、と織が頬を赤らめる。
しかし、それ以上「いや」とは言わなかった。
きゅっと唇を噛んで、ゆっくりと狐たちに向かって臀部を向ける。そして、羞恥に耐えるように眉を寄せて……する、と着物の裾をめくり上げた。
「まあ……!」
あらわになったのは、白いふっくらとした尻。下着は身に付けておらず、ヒクッ……ヒクッ……と疼く孔が丸見えになった。孔は自らの零した蜜によってぐちょぐちょに濡れていててかっており、太ももにもそれが伝っている。
「ひろげて見せろ、織」
「……っ、はい、……」
にたにたと誇らしげに笑う玉桂に命令され、織はそろりと手を下腹部に這わせる。そして、指で孔をくぱっ……とひろげてみせた。
「ふふ、それはなんだ? 織」
「玉桂さまに愛されている、私の孔でございます……」
「いつもそこをどうされている」
「……っ、めちゃくちゃにかき回されて、……玉桂さまのご立派なものでたくさん突き上げられております……」
「そういうことだ! どうだ狐たち! 私の織の、なんと美しいことか!]
狐たちの、感嘆の声。ため息をつくようにして狐たちはうっとりと織の孔を見つめている。
「美しいわね……」
「玉桂さまに愛されるのにふさわしい孔だわ……」
織の孔がひくっひくっ、とヒクついた。当然のことだが、大勢に見られて相当に羞恥心を煽られていたのだ。しかし、織の体はそんな羞恥すらも快楽となるように躾られている。視線が集まれば集まるほどに……とろり、と甘そうな蜜がゆらゆらと揺れる織のものの先端からこぼれ落ちた。
玉桂はそんな織と、そして織を見て何一つ文句を言わない狐たちをみて満足そうに笑う。異論はない。織は、自分の嫁にふさわしい――と。
「狐たちよ! 祝福せよ! この美しい織が、私の嫁になるのだ! さあ、これから私と織が契を交わすぞ――」
くたりとして淫らな自分に嘆く織を、玉桂が抱き上げた。織は下腹部をぐずぐすにさせたままとろんと玉桂を見つめて、ぽろりと涙を流す。
ああ、ほんとうに、自分は彼のものになるんだなあ、と。
「さあ、織。覚えているか? この婚儀では、口付けと共に契が結ばれる。私と口付けをしたその瞬間に……おまえは、私のものになるのだ。そして、永遠の命を得る」
玉桂が、そっと織の頬に手を添える。そして、目を細めた。
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