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千歳の章6(2)

「んっ、……」  そのまま喰らってしまうような、激しい口付け。織はあまりに強く鈴懸に求められてしまったものだから、嬉しさのあまり腰が砕けてしまった。がく、と脚から力が抜けて、崩れ落ちそうになる。  しかし――織も、鈴懸と熱い口付けを交わしたいのは同じ。壁を支えにするようにして必死に姿勢を保ち、腕を鈴懸の首に回して鈴懸の口付けに必死に応えた。 「ぁ、っ……ふ、ぁ、……んっ、」  はぁ、はぁ、と熱っぽい吐息が交わる。唇をはぐはぐと噛むようにして、余すところなく熱を刻みつけるようにして唇を貪るものだから、壁に体があちこち当たってがたがたという音がした。織ももっともっと鈴懸と交わりたくて、自ら舌を伸ばして深い口付けを乞う。そうすれば舌を持って行かれてしまうほどに舌を絡め取られ、もう、織は……口付けだけで頭が真っ白になっていた。 「はっ、……ぁ、あ……」  そして。織はやはり、イッてしまった。身を割くような切なさを覚えるほどの恋慕を抱く鈴懸にここまで激しく求められて、絶頂を迎えないわけがない。織は嬉しくて嬉しくて、ぼろぼろと涙を流す。夢中で口付けをして、痛いくらいの幸せを感じて。ガクガクと脚を震わせながら、イッたのだった。 「織……織……」  鈴懸も理性が飛んでしまっているものだから、織がイけば益々興奮してしまって。ガシッと尻たぶを鷲掴みし、ぐっと腰を引きつけ……ごりごりと、服越しに性器同士を擦り付ける。  低く、湿っぽい、鈴懸の興奮交じりの吐息。そして、乱暴なくらいの刺激。唇を奪われ喘ぐこともできない状況で、過ぎるくらいの快楽に責め立てられ……織は、鈴懸の腰に股間をごりごりとこすりつけながら、びゅっ、と射精してしまった。 「あっ……、」  織が射精したのを感じ取った鈴懸は、どん、と織を壁に押し付ける。そして、着物の襟を掴むと一気に肩まで脱がしてしまった。そして、太ももでぐっと精液で濡れた織の股間を押し上げて、熱っぽい瞳で織の瞳を覗き込む。 「抱きたい、……織、おまえを抱きたい。おまえが欲しい、おまえの全部が欲しい、織――抱かせてくれ。好きだ、織。愛してる」  凄まじいほどに熱い、求愛。織はそれを浴びて、全身を真っ赤に染め上げる。そして、イッたばかりで敏感な体は鈴懸の熱い告白にも反応して、また、イッてしまった。太ももでごり、ごり、と刺激され続ける性器から、また、ぴゅくぴゅくと精を吐き出してしまう。  織は鈴懸の言葉を呑み込み、そして反芻し。そのあまりの嬉しさにぽろっと涙を一粒落とした。そして、かくかくと腰を揺らし、純情に涙をぽろ。ぽろ。と次々に流しながら……言う。 「抱いて……鈴懸……抱いてください……。貴方のものになりたい、全てを貴方に捧げたい。……鈴懸、……好き、……抱いて、ください」  はあ、と鈴懸は興奮気味に息を吐いて、織の体をガバッと抱き上げた。織の後頭部を鷲掴みして唇を覆うような乱暴な口付けをしながら、布団まで運び、そしてごろんと寝かせてやる。 「あっ、……すずかけっ、……あぁっ、」  ゆっくりとする余裕などなく、鈴懸は織の着物を強引に剥ぎ取っていった。勢いよく服を脱がされ、鈴懸のそんな余裕のない姿を見せられ、織まで興奮してしまう。鈴懸が服を脱がせやすいように自ら動いてやり、鈴懸の呼吸に釣られるようにはあはあと息を荒げていった。 「織、……」  すべての布を剥ぎ取られ、全裸になった織。鈴懸に抱かれたがっているように肌をしっとりとさせ艶めかせ、乳首をぷっくりと膨らませ、腹部をひくひくと動かしている。びん、と勃った性器は自らの精液で、ぬらぬらとテカっている。  鈴懸はそんな織の体を、ほう、とため息のような息を漏らしながら見下ろした。手のひらを織の頬から首に、首から鎖骨に、鎖骨から胸に……胸をぐっと一揉みして、そして脇腹に、と辿らせていき、その軌跡をじっとりと熱を孕んだ瞳で見つめている。 「綺麗だ……織……綺麗だ。おまえは、綺麗だ」 「鈴懸……」 「俺だけのもの。おまえは一生、俺だけのものだ、織……」 「はい……俺の、からだも、心も、魂も……全部、一生……いえ、死んでも、貴方のものです……」  鈴懸に全身を隈なく見つめられる。織は幸せそうに微笑んで、体をヒクヒクと震わせた。この身を永遠に鈴懸に捧げられるのだと思うと、嬉しくて仕方なかった。

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