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千歳の章8

*** 「ふふ、毎日子作りに励んでいると聞いたぞ、織。まだ気が早いのではないか? 結婚する前に子作りしたところで子は成せないからな」 「なっ……白百合さま、」 「ははあ、それとも子作りではなく? あつ~いあつ~い閨事か? 羨ましいなぁ? 熱すぎて見ているこっちが参ってしまうわ」 「し、白百合さま!」  よく晴れた、師走も近付いた肌寒い朝。なんとなくバルコニーから外を眺めていた織のもとに、白百合がやってくる。どうやら彼女は、織をからかいにきたらしい。  白百合がどこから仕入れてきたのかわからないその情報は、事実であった。そのため、織も突っ撥ねることはできず、それとなく躱すことしかできない。織は、神帰の泉にて体を清めてきたあの日から、ほぼ毎晩鈴懸に抱かれていた。鈴懸から求めることもあれば、織から誘う時もある。二人は熱い熱い蜜月を過ごしていたのだ。 「そうだなあ。神との結婚にはきちんとした儀式が必要だ。まずは鈴懸が完全に力を取り戻すまで待つがよい。あいつが神として完全になれれば、結婚もできるようになるだろう」 「そうですね……ゆっくり、待つことにします」 「くく、いやらし~ことをしながら、か?」 「白百合さま!」  厭らしく目を細める白百合から、織はぷいっと顔を逸らす。いやらしことをしているのは事実だ。昨晩なんて、目隠しをされながらたくさん耳元で甘い言葉を囁かれて……いつも以上にぐっしょりと濡れてしまった。抱かれるたびに感じる体になっていくものだから、何度してもしたりない。今晩もいやらし~ことをするんだろうな、と思うと、きゅんっとアソコが熱くなる。  白百合の愉しそうな視線をバシバシと浴びて、織が参っていると。ぱたぱたと足音が聞こえてきた。振り向けば、ひょっこりと現れた、詠。 「織さま……瞳子さまがお呼びです」 「……お母様が?」

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