130 / 225
千歳の章13
***
激しい性行は、数度に渡った。お互いがお互いのもとに居続けたい、そんな想いをぶつけあった。
大量の精液を腹に注ぎ込まれた織は、苦しさで動けなくなっていた。しかし、精液を出すつもりはないらしく、穴からとろりと溢れそうになったら脚をもじもじとさせて堪えている。
「鈴懸は……この地から離れたところでは、住めないんだよね」
「ここで生まれた神だからな……」
「……逃避行、できればよかったのに。そうすれば、貴方と俺で、ずっと、一緒にいれた」
鈴懸に腕枕をされながら、織が寂しそうに呟く。抱かれた後の余韻でぽーっとしている織の唇から溢れたその言葉は、妙に、鈴懸の心をざわめかせた。
「……なんで俺が神で、おまえは財閥の息子なんだ」
「そうじゃなかったら、出逢えていないよ」
「そうだけど……」
「……運命、なんだね」
織が口付けを乞うように、鈴懸に顔を寄せる。そして、唇の皮膚を触れ合わせるような、そんな触れるだけの口付けを、二人はした。
織は切なそうに涙を流し、鈴懸は悔しそうに眉を顰める。運命を祝福すればいいのか、呪えばいいのか……二人には、わからなかった。
ともだちにシェアしよう!