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白百合の章15
やわらかい日差しの中、鳥居の上に座ってあくびをしている男。よく見知った顔だった。
銀の髪、流麗な恵体、優しい瞳。龍神として人々に信仰されていたころの、鈴懸だった。
鈴懸は、訪れる人々を見ては、優しい微笑みを浮かべていた。しかし、時折切なそうな顔をする。
『たすけて』
咲耶の念が、鳥居のなかに染み込んでいる。声として発していたわけでもないその叫びは、鈴懸に届くことはなかった。
しかし……鈴懸は、何かを感じていたのかもしれない。時折浮かべる切なそうな表情は、聞こえるはずのない声に耳を傾けているような、まるでそんな様子だった。
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