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No. 03

「音楽なくても踊れるのすごくね?」  そう聞いといてこっちの答えは聞いてない。リズムを刻むのに夢中。  スタジオに響くチップスの音。飛び散る汗が床に落ちる。  ああ、またモップがけかよ。  と、吐いたため息より早く、奴が爪先で描く無限大。空中で鳴る高速の六連打。  ウイング!  目を瞠る俺に不敵な笑顔を向けて、 「惚れた?」  って。その自信はどっから来るの。  好きだよ。  ずっと。そういうとこも。その顔も。

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