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第23話

「初めまして。私、佐久間と申します。」 先程の初老の男性は佐久間というらしかった。 2人をテーブルに案内して、お茶を出して席に着いた。 「あの、僕になにか…」 そう問いかけると、おもむろにケースが取り出された。 カチリと、ケースを開けて中身を見せられた。 「単刀直入に申し上げます。蒼斗様と別れてください。新たなお住いもご用意させて頂きますし、こちらも差し上げます。」 「あの…」 有無を言わせぬ佐久間の態度に、晴人は一瞬たじろいだ。 「僕には受け取れません。それに、蒼斗さんと別れるなんて…。」 ピクリと眉毛を動かした佐久間が声を上げた。 「金額が足りないなら追加でご用意致しますよ。」 すかさず晴人も、言葉を返す。 「違います!蒼斗さんと離れたくないんです!」 晴人は立ち上がって2人を追い返そうとした。 「チッ 淫乱なΩのクセに生意気言いやがって」 佐久間ではない方の男が、晴人の首元に手をかけた。

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