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第26話
帰宅する頃には、外は暗くなっていた。
多少の頭痛を覚えつつも部屋に帰り着くと、室内の電気が消えている。
「ただいま。晴人〜?」
名前を呼びながらドアを開けると、テーブルのそばに晴人が倒れていた。
「おいっどうした!!しっかりしろっ」
慌てて抱き起こして声をかけた。
何度か呼びかけると、やっと晴人は目を開けた。
そして、その瞳から大粒の涙が溢れだしていた。
「ごめ…なさ………」
チラリと見えた首元に痣があるのが目に入る。
「…誰にやられた」
自分でも驚く程に、低く冷たい声だと思った。
晴人を何者かに傷付けられたのが、何よりも気に入らなかったのだ。
晴人は、止まらない嗚咽のせいで詰まりながらも昼間起きた事を蒼斗に話した。
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