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第99話
その時、遠くからかすかに「おーい」「おーい」と呼びかける声がした。
ライトの男の手が下がる。
「事故ですかあ?」と声が聞いてきている。だんだんと近づいてきた。
広瀬は、銃を身構えたままだ。
「大丈夫ですかあ?」と別な声がする。数人のようだ。
「あっちに明りが見えるぞ」という声もする。
また、大丈夫か?と聞く声がする。
広瀬は、二人の男から視線をはなさず、大声を出した。「ここにいます!こっちです!」
ライトの男ともう一人は、舌打ちをした。
そして、声と数人が降りてくる音が近づく前に、ライトを消した。二人は、走って斜面を降り、姿を消していった。
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