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第114話
その夜は、広瀬がベッドに痛くないように横になるために手を貸し、枕や布団で姿勢を調整してやった。
広瀬は痛みと疲労でぐったりしていたがすぐには眠らなかった。
自分を気にかけてくれていた近藤が亡くなったということがショックだったのだろう。
こんな時は、話をして気をまぎらわせたらいいのにと思ったが、広瀬は黙ったまま静かにしていた。
そして、時々目を開けて自分をじっとみていた。
自分の腕の中に抱き込んでしまいたい。抱いて彼の望みをかなえ、甘やかしたい。
その息遣いを感じれば何を考えているかもう少しわかりそうなものだ。
でも、手を回して触れると痛いだろう。何もしてやれそうにない。
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