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第115話
近藤の遺体が発見されたと東城から聞いて、広瀬の脳裏に最初に浮かんだのは山中で会ったあの二人の男だった。
彼らは銃を持っていた。明らかに山中で広瀬が単独になるのを狙って襲ってきた。同じようにあの二人に近藤も襲われたのではないか、と思ったのだ。
さらに、東城が話を進め、父が残した暗号めいた話になっていく。
彼の推理が当たっているかどうかわからないが、広瀬はにわかに不安になった。
あの二人は何かを探していた。これ以上父親の事件や実験に関わったら、東城も彼らに狙われたりしないだろうか。
東城を今回の件から遠ざける必要があるのだろうか。
でも、どうやって。あの二人の狙いが何かわからない。
近藤理事の捜査本部に東城が継続して入ったら広瀬にはどうしようもできない。
いっそ、あの山中の二人のことを東城に話そうかとも思った。だが、あの山の中でおこったことを彼に話すことは、同じ体験をするのと同じくらい嫌だった。考えるだけでも吐き気がしてくる。ひどく身体を汚されてしまったのだ。
東城はどんな反応をするのか。驚くだろう。それから怒り。同情や慰め。いや、軽蔑されるかもしれない。自分たちのこの関係が、今までとは変わってしまいそうだ。
広瀬は東城に山中のあの二人のことは話せなかった。
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