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第128話
聞きたいことは山のようにあった。だが、やめた。東城が話をするのが辛そうだったから。
それに、いろいろと質問しても、彼は全てに回答はしないだろう。捜査記録は機密情報で、本来、広瀬が知っていてはならないものなのだ。東城は合理的である限り、規則を大きく逸脱することはしないのだ。
自分は知らないことばかりだ。両親の事件も、自分自身のことも。
東城の頬に手をかけ、広瀬は引き寄せた。まだ肩に痛みはあるが、彼を感じたかった。
東城はためらっている。広瀬が怪我をしているのを気遣っているのだ。気遣ってなんかほしくないのに。
「東城さん」と彼は呼びかけた。
「ん」
「キスして下さい」
「ああ、」彼がベッドに片手をつき、身を乗り出して顔を寄せてきた。触れるか触れないかくらいに唇が重なる。
「もっと」と言うとその通りしてくれる。唇を開くと舌がするりと入ってきた。
舌を絡めながら彼の首の後ろに手を回した。抱きしめようと動くと左肩がピリッと傷んだ。
東城はすぐに気づいて身体を遠ざける。
「広瀬」と彼は呼びかけた。もうここまでにしようと、言おうとしているのだろう。
広瀬はかまわず彼の背を抱きしめた。痛みは感じないことにする。
「もう一回」と言って唇を吸った。
合間に「でも、」と彼は言う。広瀬のキスに合わせながら、いい人のようにためらって広瀬の痛みを気遣ってみせるのだ。
「東城さん」広瀬は彼の口に舌を入れる。東城の舌の裏をたどった。彼の口を舌を唇を、舐めて擦って甘噛みして。
その気になる方法はよく知っている。もう何度もこうしていたのだから。彼が広瀬に与えた耐えきれないほどの快楽と同じものを、彼にもたらすことだってできる。
右手を下に伸ばし、彼のスウェットパンツの腰に手を入れた。
手をくぐらせ、下着の中に差し入れる。彼の性器は広瀬の予想に反してまだ固くなっていなかった。もっと、感じていると思ったのに。
だが、広瀬の手にはすぐに反応した。手のひらで形をなぞり、包み込んで動かすとすぐに。広瀬の好きなたくましい太いものが持ち上がる。ずっしりとして、凶暴で、全身を溶かすほどに甘い。
広瀬はキスを受けながら、手を動かし、さらに刺激しようとした。
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