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第136話

「岩下が死ぬ何日か前の会話だ。だけど、岩下の家で探したけどなかった。お前、どうやってこのメモリーカード手に入れたんだ?」と元村が聞いてくる。 「あきちゃん、言いたくないならいいんだよ」と忍沼が遮る。 「なんで言いたくないんだよ」と元村は言い捨てる。「俺たちを信用してないからなんだろ」 「そんなことないよね」と広瀬の意思は関係なく忍沼にとりなされる。 「送られてきたんです」と広瀬は答えた。「郵送されてきました。送り主はわかりません」 忍沼は身体を乗り出して来る。「あきちゃん宛にだったの?」 「そうです」 「岩下がお前に送ってきたのか?」 「そうかもしれません」 「まさか、お前、デバイスももってるんじゃないだろうな?」と元村に聞かれた。 広瀬は正直にうなずいた。「家にあります」 忍沼は目を見開いている。「あきちゃん、それは本当?」 「はい。このメモリーカードと送られてきました」 「どうして、あきちゃんのところに?」 広瀬は首を横に振る。 わからないのだ。岩下が自分に送ってきたのだろうか。でも、何のためにだろうか。 「設計図とデバイス、どうするつもりだ?」 どうすべきか、まだ、わからない。 「自殺する前に、岩下があきちゃんに送ったんだろうか。あきちゃんに何かを伝えたかったんだろうか」 「岩下教授は、本当に自殺だったんですか?」 「そうだよ」と忍沼は言った。「音声でわかるよ。誰かに殺されたんじゃない。一人きりで、自分で、薬を飲んで死んだんだ」

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