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第154話
女性は、紅茶をいれてきてくれた。二人の前におく。
「今日はありがとうございます」と東城は挨拶をした。「お父さんが経営されていた喫茶店のことを教えていただきたいのです」
「広瀬さんのお知り合いと言われていましたよね?どうして、あなた方が、広瀬さんを知っているのですか?広瀬さんの知り合いにしては若すぎると思うんですけど」
「えーっと。どういうことですか?広瀬のことを、ご存知なのでしょうか?」
「私は広瀬さんに会ったことはありません。それで、あなた方は、広瀬さんと私の父の喫茶店にどんな関係があると思われているんですか?」
話がかみ合っていないようだった。
東城は、かいつまんで説明する。広瀬と両親の山梨のガイドブック。
写真の裏に書かれていた『ちきゅうぎのびーのご』という文字。今、自分たちはある事件を追っていて、それに関係があるかどうかわからないままに彼女に連絡したこと。
「そうでしたか」と彼女は言った。しばらく東城の話を吟味しているようだった。
「それで、今日、あなたのお知り合いの広瀬さんは一緒に来ていないんですね」
「はい。彼は」と東城は続く言葉を濁した。
彼女はうなずいた。それから、彼女少し待っていてくださいと言って居間から出て行った。
テーブルの上にぶ厚い固い表紙の日記帳が何冊も積み上げられている。彼女が何度も奥の部屋を往復し、持ってきたのだ。
年代を見ると古い。
それから、日記を示して、「父の日記です」と彼女は言った。
東城は彼女に促され日記帳を一冊手に取り聞いた。
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