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第157話

「お目にかかってから、決めようと思ってました。このファイル見つけた直後は、誰かが、このファイルを探しに来たら、とか、狙われたらどうしようって怖かったんです。映画とかそういう展開になるでしょう。でも、全然誰も来ないし、脅されもしないし、で、ああ、これって今生きている人にとってはもうどうでもいいことなのかもって思い始めてました。大事なファイルだけど、20年以上前のことでしょう。どこかに公表するって言っても、私にはそんなあてはないし。日記はもう一度地下室にしまって、忘れてしまおうと思ってたんです。そうしたら、突然、東城さんから連絡があって、驚いたんですけど、よかったって思ったんです。この日記とファイルは、どうしたらいいのかはわからないけれど私一人にとどめてはいけないとずっと思っていたから」 彼女はそう答えた。「お持ちいただいて大丈夫です。プライベートのことも書かれているので、扱いには注意してください」 「もちろんです。慎重に扱わせていただきます」と東城は答えた。 竜崎は、預かり証の書類を出し、彼女にサインを求めた。 日記とファイルはもともと入っていた箱に戻してから、全て車につみこんだ。

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