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第161話
「これ」と東城は小さな文字を指さした。「この千葉の法人は、滝の個人の研究所だ。ここにも補助金が出ているとすると、裏金作りが続いていることを証明できるかもしれない」
竜崎は、細かいデータをプリントアウトし、ファイリングした。
東城は、紙を整理していく竜崎に聞いた。「研究所の特定の研究員を調べることはできるだろうか」
竜崎は、わずかに首を傾げた。「誰だ?」彼は再びパソコンのキーボードに触れる。
「近藤が研究費をつけた実証実験だ。専用のタブレット端末を利用している」
「広瀬が持っているあれか?」
「そうだ。その実験の担当している研究者は、近藤と親しかったようだ」
東城は広瀬が『白猫』と呼んでいる研究者の話をした。
竜崎が操作していると、画面に名前が出てくる。
「菊池と言う名前みたいだな」と竜崎は言った。彼はさらに調べていく。
「かなり立派な経歴だな」と東城は言った。
国内のトップ国立大学から、大学院では、滝の研究室に入った。
だが、滝が突然大学を辞めて研究室はなくなった。
そのためか、大学には残らず、今の警察庁の研究所に移ったようだった。
さらに、研究所からアメリカの有名大学へ留学もしていた。
記憶に関する論文も多数発表している。研究テーマは、記憶の刷り込み、定着、催眠状態と作られる記憶。
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