165 / 193
第165話
疲れた顔をした医師に呼ばれ、診察室に元村と一緒に入った。
「かなりひどい怪我です。明らかな暴行ですから、規定で警察署に届け出をしました。そのうち、事情を聞きに来ると思います」と医師は開口一番に言った。
「怪我の具合は?」と元村が聞く。
「全身打撲と数か所骨折しています。内出血もひどい。脳や内臓の状態は検査結果がでるのを待ちますが、急変する可能性があります」
「話はできますか?」と広瀬は聞いた。
「意識は途切れ途切れで、無理ですよ」医師はひらひらと手をふってみせた。「そもそも、あごの骨が折れていて、話はできません。相当痛むし、呼吸もしにくい状態です」
「様子を見ることはできますか?」と元村が聞く。
医師はうなずいた。「個室に入っています。入院の手続きも必要なんで、事務に行ってください」と疲れた声で言われた。
ともだちにシェアしよう!