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第165話

疲れた顔をした医師に呼ばれ、診察室に元村と一緒に入った。 「かなりひどい怪我です。明らかな暴行ですから、規定で警察署に届け出をしました。そのうち、事情を聞きに来ると思います」と医師は開口一番に言った。 「怪我の具合は?」と元村が聞く。 「全身打撲と数か所骨折しています。内出血もひどい。脳や内臓の状態は検査結果がでるのを待ちますが、急変する可能性があります」 「話はできますか?」と広瀬は聞いた。 「意識は途切れ途切れで、無理ですよ」医師はひらひらと手をふってみせた。「そもそも、あごの骨が折れていて、話はできません。相当痛むし、呼吸もしにくい状態です」 「様子を見ることはできますか?」と元村が聞く。 医師はうなずいた。「個室に入っています。入院の手続きも必要なんで、事務に行ってください」と疲れた声で言われた。

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