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第174話
時間を確かめて、広瀬を探すことを優先し、早退しようかと仕事の算段をつけていた時、福岡が東城と竜崎を自分のデスクに呼んだ。
彼の表情は、難しそうな顔とうれしそうな顔が入り混じっている。
「山梨県警が、近藤理事殺人事件のホシを特定したらしい」と彼は言った。「まだ、公表はされていないが、俺の独自の情報網から話が入ってきた」
竜崎が珍しく身を乗り出している。「ホシは、誰ですか?」
「堀口という男だ。他にも数名関与しているようだ。山梨は今、堀口の行方を探している。一課も手伝っているらしい。かなり慎重で、情報統制がしかれている。堀口は、元警視庁の刑事だ。殺されたのも、殺したのも警察関係者となると、厄介だからだろう」
「どうして、その男だと?」と竜崎が質問する。
「山梨の連中ははっきりとは言わないが、近藤理事と堀口が甲府の駅前で会っているのがわかったそうだ。監視カメラにそれっぽいのが映っていたらしい」
「堀口と言うのは、何者ですか?」
「まだ、わからない。警視庁をやめた後、警備会社で働いていたらしい。それで、だ」と福岡は言う。
「堀口のことは俺も知りたい。一課の担当者にから、状況を聞いてこい。うまくすると、全部わかるかもしれないぞ。近藤殺しが分かれば、裏金の件もわかる。山梨でも本庁でもいいが、堀口をおさえたら、こちらも堀口から情報をとりたい。今のうちに、からみついておけ」
それから、彼はわずかに考えてから言った。「堀口たちは人を殺している。捜査に行くときには、銃の携行許可を出すからもっていっておけよ」
竜崎は福岡の指示に返事をしていた。
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