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第176話
広瀬を探す手始めに、東城は竜崎と共に忍沼の家に向かった。
彼の家は、以前、前科を確かめた時に、一緒に把握していたのだ。
忍沼のアパートは、ドアが壊れ、半分取れかけていた。
竜崎は手袋をはめて慎重にドアを脇にずらした。
足元には割れたガラスが散らばっている。なぜか、コンビニの袋に入った小さな牛乳パックとおにぎりが足元に落ちていた。
ガラスをよけながら中に入ると、そこは、全てがひっくり返されて荒らされていた。かなり多い血が床についている。
あわてて、所轄の警察に連絡した。担当部署はこの状況を把握していた。本庁の刑事からの問い合わせと聞いて面倒そうに簡潔に答えた。
忍沼自身は、大けがで入院しているということだった。
チンピラ同士の争いと、友人と名乗る男が証言したらしい。
犯人は都心部にいる半グレで、何かのきっかけでごぜりあいになっているという。
所轄は、一通りの確認をし、身元のはっきり分からない半グレたちを手配しようとしていた。
本庁が出てくるような案件でもないし、忍沼にも警察が時間を割いて追う理由はたいしてないと、これ以上関わるなと釘を刺された。
食い下がって教えてもらった入院先に行くと、忍沼は全身ボロボロの状態だった。意識はない様子だ。
忍沼以外に病室には誰もいなかった。友人という男は、昨夜遅くに帰っていったと、担当の看護師が言った。
「無理に、起こさないようにしてください」と念押しされた。
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