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第178話

東城は指の先にあるスマホを持ち上げた。 そして、忍沼に渡す。 彼は、器用に左手だけでセキュリティコードを解除し、画面を立ち上げた。 「堀口は、あきちゃんの両親を殺した」と忍沼は文字を表示させた。 東城はその文字を読んだ。思わず怒鳴り声になりそうなのを必死に抑えた。 「それは、本当なのか?あいつは、それで堀口を追っているのか?」 忍沼は肯定した。 「広瀬は、何を、するつもりなんだ?」 「仕返し」と忍沼は書いた。 「そんなことを?許されると思っているのか?」東城は言った。「それに、危険だ。堀口は、広瀬の両親だけじゃない。近藤も殺している。お前はあいつにやられたんじゃないのか。こうなってくると、他にも殺ってる可能性はある。そんな奴に、本気で対決に行ったのか?元村と2人だけでか?」 忍沼はまばたきをした。 「あいつが、どこにいるか教えてくれ。広瀬は、無鉄砲で、何が危ないのかわからないんだ。誰かが守らないと、取り返しがつかなくなる」 必死に話をする。忍沼を説得することは叶わないかもしれない。 できることと言えば、頼みこむことくらいだ。 「頼む。教えてくれ。行って、あいつを、助けなくちゃならない」 忍沼の指が、画面をすべった。 地図が映りGPS信号の場所を示している。何か所か赤や緑の印が出ている。 「どれだ?」と東城は見た。 「緑色が融だ。あきちゃんは融と一緒のはずだ」と彼は画面に書いた。 そして、スマホを東城に渡した。

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