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第183話

竹内が大声でわめき、ナイフの柄をつかんだ。 元村は広瀬に気づき飛び退って竹内から離れる。 「動くな」広瀬は言った。銃口を竹内にむける。 竹内は、広瀬を見た。顔が痛みでゆがんでいる。 「貴様」と彼は言った。 息が続かないようで切れ切れの言葉だ。ナイフを抜こうとしているのだが、手には力がなく抜けないようだった。 「近藤さんを殺したのはなぜだ?」と広瀬は聞いた。 「知るか。俺じゃない。堀口だ」 歩いて近づき、手を伸ばして頭に銃口をつけた。頭を銃口でぐいっと押す。 竹内は口を開く。「近藤の野郎、金を勝手に移動させやがった。あれは、俺たちのものだったんだ」 「お前たちと近藤さんはどうつながっていたんだ?」 「組織だ」 「組織?」 「お前ら警察のためだ。お前らや検察が挙げられない奴や、内部のヤバい奴らを、処分するんだ。そうそう、ついでに、邪魔な連中もな。近藤も最後は邪魔になったってことだ」竹内はじろりと広瀬を睨む。 「堀口は?」 「組織は堀口が作ったんだ。警察の上層部の誰かに依頼を受けてた。それが誰かは俺も知らない。その点については堀口は絶対に話さなかった。相当ヤバい相手なんだろう。近藤は、金を集めて配分する係だった」 「堀口はどこにいる?」 「ここにはいない。ここに来られたくらいなんだから、自分で探せるだろう」 広瀬は、竹内のこめかみを銃のグリップで殴った。 竹内は、倒れる。ナイフは腹に刺さったまま気を失った。

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