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第184話
広瀬の運転で、元村が仕掛けたGPSがついた車を追った。堀口が乗っているはずだった。
GPSの先にあったのは都心から少し離れたところにある改装工事中のビルだった。
駐車場には、確かに元村がGPS端末をつけた車が停まっている。
中にいは人がいない。
助手席で元村は身体を動かすが、上半身を起こすことさえできない。
顔が血だらけになっている。
「かなりやられた」と元村は言った。「すまない。俺は、これ以上は動けない」
息が途切れ途切れだ。
「救急車を呼びますか?」と広瀬は言った。
元村は首を横に振った。「いや、いい。全部終えてからにしよう。それくらいまでは、俺ももたせる。お前は、堀口を、殺れるか?」
「はい」広瀬はうなずいた。それ以外何を考えるというのか。腰にさした銃を再び手に持った。
「あいつが本命だ。拓実の仕返しもしてくれ」と元村は言った。
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