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第3話

「石田さん、朝ごはん作ってくれるって」 「そうですか」そういいながら、広瀬は、気もそぞろに脱衣場からシャワールームに入りガチャっと鍵をかける音がした。 石田さんが戻る前に、と東城は広瀬の下着をさがした。 夕べは、どこでどうしていたのかあまり記憶にない。 石田さんが掃除している間に下着をみつけたら、広瀬は怒るだろう、と東城は思った。二階の部屋や一階のリビング、キッチン、ダイニングなど昨日行ったような気がする部屋をみてまわった。最終的には、リビングのソファーのクッションの隙間に入り込んでいた。 なんでこんなところに、と思い、その後、思い出した。 寝室でゆっくりと広瀬の服を脱がしていき、後は下着だけ、となったとき、ズズズと広瀬の電話が振動したのだ。上着のポケットに入っていたようだ。 私用の電話の方なので、まさかとるとは思わなかったが、広瀬は、上着から電話を取り出すと、発信者名をみて、電話をとったのだ。 ここまできて、それはないだろうと思ったら、広瀬は、小さい声で挨拶をしながら、ドアの外に出た。 数分は待っていたと思う。だが、なかなか戻ってこないため、東城はドアをあけた。 広瀬は、静かな声で、相づちをうち、電話の相手に答えている。ドアから顔をみせた東城に目をむけた。 もし、そこで、広瀬が、そのまま話をし続け、電話を切っていたら、東城はただ、待っていただろう。 ところが、広瀬は、東城がでてくると、一階のリビングに逃げたのだ。いつも、自分のスイッチがどこではいるのか、東城にもよくわからない。逃げるから悪いんだ、広瀬。と後で彼につげた。逃げたりしなければ、追いかけたりはしない。 リビングにたって、まだ、電話を続けようとしている。 東城は彼を背後から抱きしめた。 広瀬は、電話中であることを示し、身をよじって逃げようとする。それにあおられて、東城は彼の身体をなでた。 肩や背中に唇をおとし、手をゆっくりと下着の中に差し入れる。 寝室ではそれからの行為に期待を示していた広瀬が、電話のせいですっかり醒めてしまっている。 それも東城には面白くなかった。そっと、左手でつつみこんで先端を右手でいじると、広瀬はさらに身をよじってくる。 だが、まだ、声は平静で、静かに相手に返事をしていた。どうやら、たいしたことのない話を長くされているようだった。 硬くなりだした性器を下着からとりだし、東城は、さらにしごいてやった。袋もやんわりとなでたり、ゆらしたりする。 下着は足から下に抜けていった。 広瀬は、身をよじるのをやめて、じっとこらえている。そして、しばらくそうされていたら、急に、電話の相手に「すみません、ちょっと急用ができたので、明日、また」というとかなり強引に電話をきった。 電話を、床に落とすと、彼は、東城にキスを求めてきた。広瀬の性器はもう、すっかり、東城の手の中で立ち上がりきり、うっすらと先走りをこぼしだしている。 「こんな夜に急用って、お前」東城は喉の奥で笑いながら、広瀬の求めるままにキスをした。 「仕方ないじゃないですか、東城さんが、がまんできないんですから」と言う広瀬の声のほうがはるかにあがっていたのが、東城にはかわいらしかった。

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