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第9話
4人で広瀬の両親のお墓を掃除し、花を活けた。伯父夫婦のほうが広瀬より長い時間手をあわせていた。
一通り終え、遅めの昼食をとろうと、歩き出したむこうから、長身の姿勢のいい男が歩いてきた。
一目で警察関係者とわかる様子だ。手には花と水をくんだ小さいバケツをもっている。
むこうもこちらに気づいたようだ、会釈をしながら近づいてくる。「彰也」と男はいった。それから伯父夫婦に挨拶する。「お久しぶりです」
伯父夫婦もあいさつを返していた。知らない顔ではないようだった。
男は、隣に立っていた東城に怪訝そうな顔をした。
東城は会釈だけしたが、特に名乗りはしなかった。どこかで見た男だ、と思う。かなりのお偉いさんだろう。
広瀬の警察庁の「オジサンたち」の一人に違いない。誰であろうと、関わらないほうが無難だ、と思った。
「私もお墓参りさせてもらおうと思ってね」と彼は広瀬に言った。
「ありがとうございます」と広瀬はこたえる。
命日だからだろうが亡くなったのは20年以上前だ。親族でもないのに律儀なことだ、と東城は思った。
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