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第17話
ところがそこで、ベッドサイドのテーブルに置いた広瀬のスマホが光った。電話だった。東城は、彼を含んだまま、広瀬を上目遣いでみている。広瀬は、自分のスマホの画面をみた。そして、東城の頭を押しのけると、電話をとった。
東城が身体をおこし、広瀬の肩越しに画面を見る。
伯父夫婦からの電話だった。無事に家に着いたことを知らせてきたのだ。いろいろ話をしてくる言葉にあいづちをうち、しばらくしてから電話を切った。
その間、東城は、この前の電話の時とは違い、大人しくしていた。
電話が終わると、広瀬を背中から抱きしめてきた。
「なあ、伯父さんたち俺のことなんか言ってた?」と東城が聞いてきた。
「え?」と広瀬は聞き返す。なんかってなんだろうか。
「気になるだろ。お前の親代わりなんだしさ。お前、俺のことなんてお二人に紹介したんだよ」
「一緒に暮らしてる人ですって言いました」
「そうなんだ」と東城は言った。
彼はぎゅっと広瀬を抱きしめてくる。「そうしたら、なんて?」
「特になにも」と広瀬は答えた。「単に友人と同居だけって思ってるのかもしれません。説明はしませんでしたし」言った方がよかったのだろうか。恋人ですとか?でも、わざわざ伝える必要もない気もする。
「いいよ、別に。片田舎から出てきたお年寄りに急に俺たちの関係を話したらショック受けるだろうから」
「田舎」と広瀬はつぶやいた。否定はしないが、なんでこの人はこうストレートに言うのだろうか。
「それで、俺についての感想はなんかないのか?いい人そうね、とか」
「なんですか、それは?」
「いや、だってさ、自分の子どもが一緒に暮らしてる人間だろ。恋人か友人かは別にして、感想くらいあるだろ。言われなかったのか?」
「俺の伯父さんたちは悪口をいうような人ではありません」
「悪口前提で話すなよ。そうじゃなくて。感想だよ。感想。俺は感想があるぞ。お前の伯父さんたち、真面目そうで優しそうだった。お前のことすごく大事にしてるんだなってわかったよ。そういうようなこと」
「ああ」と広瀬はうなずいた。「ありがとうって、お礼を言ってました」
東城はうなずいた。
「それと、俺の今までの友達にはいなかったタイプの人だねって」
わずかな沈黙のあと、聞かれた。「それ、いい意味?」
「さあ。そのままだと思います」
東城は複雑そうな顔をした。「お前の今までの友達ってどんな?」
面倒だな、と広瀬は思った。「東城さんとは違うタイプですよ。それより」と広瀬は東城の顔に手を伸ばした。「続き、しないんですか」
そう言って、唇を合わせた。
「ごまかされてる」と東城は言ったが、それ以上質問はしてこなかった。もう一度、最初から彼が柔らかな愛撫をしてきた。
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