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第18話
一日中外回りをして疲れ切って帰ってきた夜に、やっとのんびりできると全身をベッドにあずけた。手足の力を抜くと心地がよく、気持ちも安らぐ。柔らかな暖かい掛け布団をかかえこみ、少し丸くなって眠る態勢になる。
しばらくしてドアが開く音がした。東城が入ってきたのだ。
彼はさっきまで風呂に入っていた。いつもなら、ビール片手に夜中のくだらないテレビを見ている時間帯だ。気づかなかったふりをしようと思った。
目を閉じていたら唇に唇をつけてきた。じっとしているとぺろりと舐められた。
それでも放っておいたら、舐めながら下唇を唇で挟まれ、引っ張られる。指先が、わき腹をつたいこちょこちょとくすぐってきた。それでもじっとしていると、余程相手をしてほしいのだろう、顔を離して、鼻を軽くつままれた。
目を開けると楽しそうな顔をしている。
「なんですか?」
まだ、くすぐってくるので身をよじって手を避けた。
「せっかくの秋の夜長を眠ってすごすつもりか?」
黙っているとするすると手が絡みついてきて、ゆるく着ていた衣類を全て剝ぎ取られる。
素早く太ももの内側をなでられて、「あ」と小さく声をあげてしまった。
彼は、満足そうにしている。広瀬の意識が自分にむいたせいだ。
仰向けにさせられて、顔の脇に両手をつき、自分を見下している。その視線だけで体温がわずかだがあがる。
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