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第20話

「いかがですか?」とからかうような声がした。 指先はまだぽちりとふくらんだ乳首をこすっている。こんなにされたら赤く腫れそうだ。もどかしさが胸から足のつま先に抜けていく。 さらに、東城は、耳朶を甘く噛み、中に舌を入れてくる。彼の息が熱く湿っている。低い声でまた何かを言われた。内容ではなく、その低音に耳から頭の中、身体の中で、何かが、ぱらぱらとひっくり返されていくような感覚になる。 「首が赤い」と東城は言い、首にも歯を軽く立てる。 痕になったら困るから、やめさせなければ。でも、もう、なんだか頭の中も口も緩慢にしか動かず、できない。代わりにハアと何度も息をするだけだ。 「肌が白いから、わかりやすく赤くなるんだよな。きれい」と東城が言っている。再び耳を舐められた。ざらっとした感じに、身体がすくむ。 「どう?満足できそう?」 広瀬は首を横に振る。 触れられない下半身はすでにかなり重く、意思に反して腰が動いてしまう。 指先でつままれた乳首をひっぱられた。 「あ」 広瀬は、足を東城の下肢に絡ませてしまった。我慢できそうにない。そのまますっかり立ち上がった性器をこすりつけそうになった。 「あれ」と東城は、わざとらしく彼の腰をつかんでとめた。「ごめんな、気が利かなくて。どうして欲しいんだ?」ご奉仕してやるっていったろう、とかすかに笑いを含んだ声がした。 そうしながら、まだ、手は乳首だけしか触れてくれない。 「うぅ」広瀬は身体をゆすった。自分の快楽に逆らうことはできない。「なめて」と声を出した。「俺の、東城さんの口に入れて」彼の頭にふれ、下に押す。「なめて、いかせて」。声が上ずってかすれる。 東城が、広瀬の手のままに顔を下げ、性器を口をもっていく。もう、ぱんぱんになっていたのだ。舌で先端を舐められた。途端に広瀬は細い声をあげてしまった。 身体が弾ける。予想していなかった。東城の顔にもろにかけてしまった。 「あぁ」広瀬は、身体をびくつかせた。

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