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第21話
見ると、彼の顔にべったりと自分の精液がかかっていた。一瞬だけ、びっくりした顔をしていたが、すぐに、普通の顔に戻った。
ただでさえ熱かった身体が燃えあがるようだ。こんなにすぐにたっしてしまうなんて。
彼は上半身を起こした。広瀬に見せつけるるように、自分のまぶたやほおにかかった半透明のそれを、手の甲でぬぐった。そして、そのまま甲をなめた。
「そんなによかった?」と東城が聞いてきた。
広瀬は羞恥心でどうにかなりそうだった。顔をふせて身体を丸くしようとしたら、意地の悪い彼がそれを止めてきた。
自分に体重をかけてのしかかり、顔を近づけてくる。唇を噛まれ、キスされた。深くきつい。
口の中を吸われ、舌を動かされる。口を閉じられず、唾液があふれて端からつたう。
顔も触れ合うので、東城の顔にのこっているぬめりが、自分にもついてしまう。東城は、唾液とともにそれをなめとっていく。
なんて悪趣味なんだ、と思う。
キスをして顔を舐めまわしながら、手が身体をなでる。太ももの内側を手がたどる。
「もう一回なめてもいいか?」と聞かれた。「今度はちゃんと」
広瀬はかぶりをふった。いったばかりで、刺激されたくない。じっと静かにしていたいだけなのだ。
だが、彼は言うことを聞かず、キスをやめて、もう一度、身体を曲げた。広瀬の中心を舐め、口に入れた。手が優しく袋をなで、ゆっくりとゆさぶる。舌と口腔がじんわり、熱く性器にからんできた。
再度立ち上がるまで、時間はかからなかった。口と指でいいようにされて、広瀬は小さな声をあげてもう一度吐き出していた。
荒い息がおさまるともうすっかり身体からは力が抜けていた。手も足も重くて動きそうにない。
東城が覆いかぶさってきて、両腕を広瀬の身体に回してきた。ぎゅっと抱かれる。
「寝るなよ」と東城は言った。
広瀬はかぶりをふった。「もう、今日は、」と告げた。気怠くて全身の力が抜けている。眠くなってきた。
だが、東城はしつこく背中にまわした手で背骨をなで、そのまま指を腰や尻のあたりにまですべらせてくる。
彼の体温はいつも自分より高い。また、耳を食べられた。声が聞こえる。「だからさ、秋の夜は長いって言ってるだろう」
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