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第23話
シャワーからあがり、髪を拭きながらダイニングに降りていくと、東城がコーヒーをいれてくれていた。自分でパンを焼き、着替えなど支度をしながら食べていると電話がかかってきた。
上司の高田からだった。
「はい。広瀬です」
挨拶もをそこそこに高田が言った。
「岩下教授が自宅で死亡しているのが見つかった」
その言葉の意味が頭の中で理解するのに時間がかかり、広瀬は返事ができなかった。
「現場に来い。急げよ」と命じられて電話は切れた。
岩下教授は、正確には退職していて名誉教授だ。勤めていた大学の研究室の教え子2人が相次いで自殺をし、違法な人体実験をしていたのではないかという情報が流れているのだ。さらに、自殺した一人の歯から見つかった金属は、広瀬の奥歯に中に埋まっている金属と関係があるような気がしている。
東城がネクタイを締めながら怪訝そうな顔をしてこちらを見ている。「どうした?悪い事件か?」
広瀬はうなずき、東城に電話の内容を告げた。岩下教授のことや歯のデバイス、実験のことは前々から東城にも話している。
「まさか、殺されたのか?」
「わかりません」
高田は何も言わなかったからまだ死因は不明なのだろう。
広瀬は、家を出ると走って駅に向かった。
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