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第26話

町内会の女性たちや救急隊、その後入った警察によって、家の中は以前訪ねて来た時よりもやや荒れていた。 倒れていたのは応接室ということだった。別な所轄の刑事たちに挨拶をしながら、応接室のキッチンに入る。 そこには同年配の刑事がいて、中の様子を確認していた。彼は、宮田と広瀬に気づくと挨拶してくる。宮田と少し面識があるようだった。 「大井戸署が大騒ぎでぞろぞろくるってどういうこと?」と彼は聞いてきた。「おじいちゃんが死んだだけだと思ったら、大井戸署が来るっていうから、朝っぱらからこっちも大慌てできてんだ」 「死因はなに?」と宮田が聞いた。「俺も、今呼ばれたばっかでさ、何があったの?殺人?」ととぼけて言っている。 「不審死」と刑事は言った。「居間で倒れてたんだって。事故じゃないか。おじいちゃんだから、足がもつれて頭打ったとか。ここの人、重要人物なのか?」 「誰かは知らないのか?」 「全然。今、資料作ってる。独居老人、年金生活かな」刑事は、そう言いながらキッチン周りを見る。「なにかをたくらんでる来客が来たってこともなさそうだ」シンクも机も片付いている。 ところが、彼はふとしゃがみこんだ。「あれ、これは」と言っている。 「なんだ?」宮田も彼の後ろからかがみこんだ。 「見たことある?」手にはめた手袋をぎゅっとしめて、刑事はコンセントに手を伸ばした。そして、指してあった三穴に分岐するコンセントを指さす。 宮田と広瀬は彼が指を指しているそのコンセントをみる。 「班長呼んでくる」と彼は言い、その場を去っていった。

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