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第54話

車に乗り込みホテルを出ながら「地球儀は、間違いかもしれないな」と東城は言った。「あのお前の子どものころに書いた字。地球儀って言葉じゃないかもしれない」 「そうですね」と広瀬は答えた。「子供の落書きですから」 あっさりしてるなあと東城が後ろからぶつぶつ言っている。 東城は車を走らせ、両親がガイドブックをチェックをしていた場所に向かう。 「旅行の時は、車で移動したんだよな?」と東城は言った。かなり広範囲で動いているようだったのだ。「車もってたのか?」 「はい」と広瀬はうなずく。「父が運転していたのは覚えています。母もしてたかな」 「ここにも自家用車できたのか?」 「そうだと思います」 車で巡ってみると、当たり前ではあったが古いガイドブックの歴史的観光スポットの大半はそのままあった。 日曜日のため、人も車もそこそこいる。訪れている年齢層も幅広い。 広瀬は各場所でまめに自分のスマホで写真を撮り、気になることをメモで記録した。実証実験のタブレットを使いたいところではあったが、あまりにも私用でしかも両親に関係することなのでやめたのだ。

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