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第62話
与えられた任務は、近藤理事の捜索。
さらに、犯罪であった場合には犯人の追及になる。
あらゆる可能性があるため、雑多な部署からの班編成になったようだ。招集されたメンバーはそれぞれに役割を指示されている。近藤理事が地方の県警にいたころに関係したかなり古い事件のことまでもが範囲になっている。
竜崎と東城にも指示が出た。
会議室のメンバーの視線がこちらに移る。
「近藤理事は、研究所の理事だ。説明するまでもないことだが、研究所では様々な実験、開発が行われている。情報は厳に管理されているが、欲しがっている機関は多い。国内外にだ。機密の開発情報を巡っての誘拐事件かもしれない。君たちは、その線で情報を追ってほしい。今担当している件よりも、近藤理事の件を最優先にしてくれ。リーダー福岡警視にもこちらから要望を伝えておく」
竜崎はすぐに同意をし、何点か確認をしていた。
東城は、冷静沈着な同僚のいつも変わらない涼しげな目元をみたが、自分からは何も聞かなかった。
咀嚼しきれない情報の中で、ただ、まずいことになった、という意識だけが、頭の中を占めていた。
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