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東馬(※双子苦手な方注意)
何にも見えない。
後ろに縛られた手を動かすが、若干手首同士を擦り合わせることができるくらいだ。
剥ぎ取られた衣服が指先に当たる。
それを掴もうとするとスルッと取り上げられた。
「怖い?」
「っ、」
クスクスと愉しそうな声が耳のすぐ側で聞こえる。
なんで、こんなことをするのか。
何がしたいのか。
「東馬 、何···?」
声のするほうへと首を向け名前を呼ぶ。
どこか自分の声が震えている。
怖い訳じゃない。
たた、理解できないだけだ。
「東馬 がさ、好きなんだよ。」
「何言って···ンア!」
不意に乳首に何かが触れた。
濡れた、生暖かい感触。
ピチャッ···
「や、何···トウマ!」
繰り返される刺激に体を捩る。
トウマの体重でベッドに押さえつけられているから、それは僅かな抵抗にしかならないけれど。
「アズマ···好きだよ···」
「あ、やめ···んっ!」
見えないけれど感触と温もりで分かる。
尖らせた舌先が左の乳首を何度も擽る。
チロチロと舐めたかと思うと、押し潰すように舌先を押し付ける。
「気持ちいい···?アズマのここ、尖ってきた。」
「ひゃ···イタッ···んんっ!」
トウマの指が左の乳首を摘まむ。
そのままキュッと引っ張られ僅かな痛みが走った。
同時に反対の乳首がまた生暖かい感触に包まれ、両方の胸に感じる異なった刺激がダイレクトに下半身へと繋がっていく。
「アズマ···チュ、アズマ···」
ハァ···と吐息混ざりに名前を呼ばれ、いつもの明るい元気なトウマの声と違って聞こえる。
「ンアッ···トウマ、ちょっと話···んんっ!」
チュパッ···!
話をしようと持ちかけた声は高い喘ぎに変わった。
音が響くほどに強く吸い付かれた乳首は、見えないけれど紅く卑猥にテカっているのだろう。
「話?そんなものしたって、もう遅いよ···アズマのこんな姿見て俺のここ、こんなだもん。」
「ひ!え、やぁっ!」
晒された下半身に、何か硬くて熱いものが触れる。
それがトウマのペニスだと理解する前に、ゴリゴリと僕自身に擦り付けられた。
「あ、やめ···んんっ!」
「はっ···アズマ、アズマ···チュ···」
上擦ったトウマの声が耳に吹き込まれ、首筋を吸われる。
何度も何度もそこにキスを落とし、名前を呼ばれた。
クチュ、グチュ···
自身に擦り付けられるトウマのペニスは濡れていて、快感を貪るように擦られるたびに甘い痺れが背筋を走る。
「感じてる···アズマのここも。可愛い、可愛い···」
「ん、んっんー」
柔らかい唇が、僕のそれに合わさる。
驚き開いた隙間から、ヌルッとした舌が差し込まれ、引っ込めていた舌を絡めとられた。
さんざん弄られた乳首にもトウマの長い指が触れ、指の腹でクリクリと捏ねられる。
キスと乳首と自身を同時に刺激され、一気に快感が高みへと駆け上っていく。
「はっ、あ···んあ···あぁっ!」
テンパった頭は喘ぎ声を止めることもできず、ただトウマから与えられる一方的な愛撫に涎と共に口から漏れていく。
見えないことも、手を封じられていることも、今されていることをより強く感じる要因で。
男だから···刺激されれば反応するし、追い込まれれば射精もする。
トウマが触れてくるところ全てが気持ち良いことも事実だ。
けれど···
「や、あ···トウマ、怖い···!!」
「····っ!」
顔を背け、正直な気持ちを吐き出した。
一気に膨れ上がった恐怖が目尻に溜まり、覆っていた布を濡らした。
大声を出したかったのに、恐怖にひきつった喉から出たのは小さな叫びで。
それでも、その声にトウマの動きが止まった。
「······トウマ、怖い。」
「うん、、、」
「怖い···」
「···············」
小さく訴える。
ゆっくりとのし掛かっていた身体が離れ、重みが消える。
空気に触れた素肌がブルッと体を震わせた。
まるで固まってしまったかのように何も言わないトウマ。
それでも、すぐ側に居ることは分かる。
「怖いよ、トウマ······お前が見えないことが、怖い」
「!!」
息を飲む音が聞こえる。
どんな顔をしているのだろう。
視線は感じる。
けれど、トウマの表情が見えない。
「トウマ···これ、外して···」
「·········」
「お前の顔、見たい」
小さく懇願すれば頬に温かい手が触れた。
ユルリと頬を撫で、その手が布にかかる。
「·········ん、」
優しく外される目隠し。
ゆっくりと瞳を開ければ、天井と一緒にトウマの顔が見えた。
僕とよく似た···二卵性の双子の弟
「なんで、トウマも泣いてるのさ?」
「······分かんない」
静かに涙を流すトウマにプッと笑いが溢れた。
ぐっと腹筋に力を込め身を起こす。
ギシッと軋むベッドの音がやけに大きく聞こえた。
「···トウマ、僕のこと好きなの?」
「ん」
「こんなことしたいって、抱きたいって思うほど好きなの?」
「ん···ごめん」
「そっか···」
ゆっくりと体を寄せる。
それに合わせてトウマが後ろに下がった。
さっきまであんなに近くにいて触れてきていたクセに、僕から近づくと逃げていく。
「トウマ···」
壁際まで追い詰めたトウマの名前を呼ぶ。
そうすれば、表情を隠すように反らされていた顔がこちらに向けられた。
本当は手を伸ばしたいけれど、後ろに拘束されたままではそれは叶わないから。
チュッ···
「え、、、?」
目の前にある薄い唇に吸い付く。
触れるだけのキスを落とせば、驚きにトウマが声を失った。
「続き、しよ?」
挑発するように笑って見せる。
それだけで十分だった。
共に生まれ、育ってきた自分の片割れ。
伝えたい気持ちはちゃんと伝わったはすだ。
伸びてきたトウマの長い腕が、強く体を抱き締める。
「はっ、あぁ···ん!」
濡れた熱い舌が、柔らかさを取り戻していた乳首に絡み付く。
何度も吸われ、甘く噛まれ、乳輪をなぞるように舌先で転がされる。
同時に昂っていた僕のペニスをトウマの大きな手が扱き、グチャグチャと淫らな音が響いた。
「あ、も···イク···んあぁっ!」
容赦ない攻め立てに、体を仰け反らせて欲を放った。
「アズマ···大好きだ···」
ゆっくりと体を反転させられ、うつ伏せにされる。
拘束された腕を解いて欲しいという気持ちもあるが、それ以上にこれからされるであろう行為に期待している自分がいて。
自ら腰を高く上げ、見せつけるように揺らす。
「···すっげえ淫乱」
嬉しそうに呟くトウマの声に、フフッと笑って応えたー。
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