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痴漢
ガタン···
「んっ!」
大きく揺れる電車に思わず声が漏れる。
乳首を引っ掻いていた爪先が振動でぐりっとそこを押し潰す。
慌てて口を塞げば耳元で小さく囁かれた。
「シーッ···周りにバレちゃうよ?お兄さん」
クスクスと笑う声が擽ったい。
男の声はひどく愉しそうで。
シャツの隙間から差し込まれた大きな手がゆるゆると乳首を掠める。
「····!」
それだけの刺激が周りにバレるんじゃないかと言う緊張で更なる快感を生み、下半身がジワッと熱もつのが分かった。
思わず太股にギュッと力を込めれば、それに気付いたのか背後から伸びてきた男の手がそこに触れてきた。
「硬くなってる···バレるかもって思うと感じちゃうんだ?やっぱりお兄さん、ドMだね。」
「ち、が···!」
ユルユルと脹らみ始めたソコを撫でられ、その手を止めようと手首を掴んだ。
そうして視線をそこに移して、身体から血の気が引いた。
「な、うそ···」
掴んだ手。
その手が身に纏っているのは明らかな学生服で。
「どうしたの···?ああ、もしかして年下に好きにされてて驚いてる?」
密着した身体がクツクツと笑いに震えている。
ぬるっとした感触が耳穴に差し込まれ、耳朶を食まれた。
「気にしないで、こっちに集中しなよ···」
「ひ、あ···」
指で乳首を挟まれ、そのままコリコリと擦り合わされる。
掴んでいた手を逆に捕まれ、指を絡ませてくる。
「ね、電車の中でこんな風に触られるのって、どんな気分?」
絡んでいた指が、手のひらをカリッ···と引っ掻く。
何度も何度もそうされているうちに、まるで手のひらまで性感帯になったかのようにそこから熱が広がる。
嫌なのに。
嫌な筈なのに。
「や、め···んんっ、」
思わず前のめりになった体。
そうすることで胸を弄っていた指に自ら押し付ける形になってしまい、ズキッと体の芯が甘く痺れた。
「学生に痴漢されてるのに感じてるとか···ドMの変態なんだね、お兄さん。でも···」
「っ、···!」
『すごくそそる···』耳元で囁かれる言葉に、身体から力が抜ける。
顔は見えない。
ただ、満員の電車の中で後ろから身体を弄られ、言葉で攻められる。
それにこんなにも感じてしまっている。
嫌な気持ちとは裏腹に、身体は確実に快感を拾っている。
こんなの···本当に変態だ。
今の自分の状況を思うと情けなくて涙が出そうになる。
「···泣いてるの?」
「うっさい···放せ、ガキが」
少し驚いたような声に頭を振り、首を捻って睨み付けた。
いや、つけようとした···
「ひゃっ!」
「泣かせちゃったみたいだから、お詫び」
突然に訪れた股間への刺激。
いつの間にスラックスを緩めていたのか、できた隙間から大きな手が差し込まれ直に握り込まれる。
「あ、な、うそ···やめ、んんっ」
抵抗しようにも周りに人が大勢いる中で暴れる訳にもいかず、かといって大きな声も出す訳にはいかない。
くにくにと乳首を弄っていた指が離れたかと思うと、次に口の中にその指が入ってきた。
「ングッ、ひゃら、なに···」
「温いね、ここ···突っ込んだら気持ち良さそう。」
舌を摘まみながらそんなことを言われ、目尻に涙がたまっていく。
『なに』を突っ込もうと言うのか。
本能的に言われている意味を察してしまい、自分がそうされている姿を想像して身体がカッと熱くなった。
「あ、想像した?」
「んやっ、あ···」
口から指を引き抜き、また胸元に戻ってくる大きな手。
涎で濡れたその指が、尖った乳首をクルリと撫でた。
「···コリッコリ。濡らすと上手く摘まめないね。」
「·········っ!」
わざと掠めるようにそこを弄られる。
焦れったいようなその刺激が、かえって身体を痺れさせる。
声を漏らすまいと必死に口を押さえ、送られる刺激に耐えた。
クチ、、、
握られた自身がゆっくりと擦られ下着の中で震える。
くそっ、最悪だ···
こんな場所で、こんなガキに好きにされている。
なのにそれを拒めない。
「···っ、ン····!」
「····はっ···たまんねぇ···」
囁かれる言葉と腰にグッと押し付けられた塊に、心臓がバクバクと煩い。
もう、ダメ···イきそうだ···
どんなに耐えようが、与えられる刺激に身体は反応するばかりで。
限界が近付いたところで「チッ!」と舌打ちが聞こえた。
「タイムアウト」
「あ···」
言葉と共に離れていく両手。
同時に聴こえてくる駅名を告げる車内放送。
「残念、あと少しだったのに」
ボソッと聞こえてくる台詞にホッと息を吐く。
急いで身なりを整え、カバンを持つ手に力を込めた。
安心···しないといけないんだ。
「じゃあね、お兄さん」
「っ、」
慌ただしく電車から降りていく人波の中から小さな声が聞こえた。
やがて閉じる扉に身体を押し付け外を見る。
「··········」
朝の通勤通学ラッシュで賑わうホームの中、こちらに向かって小さく手を振る男子生徒。
その手は確かに俺自身を扱いていた方で。
ゆっくりと自分の口元に運ぶと見せつけるようにベロリ···と舐める青年の姿に、達していないペニスがズキッと疼いた。
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